イモータルズフィニクスライジング


対応機種プレイステーション5
発売日2020/12/03
価格6980円
発売元UBI

(c)2020 UBI SOFT
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UBIソフトの看板シリーズの一つである「アサシンクリードオデッセイ」の制作スタッフによる完全新規のゲームタイトル。
このご時世に、新規IPで勝負するなんてなかなかの気概があるじゃないか、UBI。その男気に思わず惚れてしまいそう。
ジャンルとしてはオープンワールドのアクションアドベンチャーゲームで、世界観およびストーリーはギリシャ神話を題材としている。
このあたりの発想は「アサシンクリード」シリーズと同様で、安定感のある作りだ。しかし同時に、ギリシャ神話の知識を持っていないと楽しみにくい側面も内包している。
だが本作では、殆どの場合「こういうギリシャ神話があったんだよ」という昔話的なていで紹介される感じなので、知識がなくても問題ないっちゃ問題ない。

さてこのゲーム、指摘する前からご存知の人はご存知かと思うが、任天堂「ゼルダの伝説 ブレスオブザワイルド」のパクリという不名誉なレッテルを貼られているゲームであった。
個人的な印象としては「あのゲームを真正面から真似るなら逆に相当面白いんじゃないか」などと思ったのだが...。やはりこのゲームは面白かった!!

確かに「ブレスオブザワイルド」とそっくりな部分は少なくない。
だがそれは、良い部分を素直に取り入れていて、逆に根幹の要素でも不要だと感じた部分はバッサリ切り捨てている。
例えば、「ゼルダ」では重要な要素の一つである町や、NPCと会話する情報収集のシステムが、本作では一切ない。
また、武器の耐久度の要素もなく、戦闘システムは別物と言っていい内容となっていて、全くのパクリというわけでもない。

「ブレスオブザワイルド」(というか「ゼルダ」シリーズ自体)ではゲーマー向けに作られているが、本作ではライト向けに舵を切っているようで、間口はかなり広い印象を受けた。
前述したように、武器に耐久値がなく、いつでも好きな武器を使って戦えるので、戦闘は爽快感が重要視されていて、簡単操作で手軽に気持ちよさを味わえるようになっている。
回復アイテムもバカスカ手に入るし、おまけに一定時間ステータスを上昇させる薬もある。また、キャラクター強化のシステムもあるが、ちょっと寄り道してればかなり強くなり、苦戦することがなくなる。

オープンワールドということでフィールドは広いのだが、途方もなく広いという感じではなく密度のある感じで、移動が退屈になることが少ない。地形も練り込まれており不快に感じることがなく、どこへでも行けるように配慮されている。
あらゆる場所にイベントが詰め込まれており、千里眼というアクションを使うことでかなり広範囲に渡ってイベントの場所を見つけることができるので、漠然と探すというような手間がない。

ゲームの骨子となる要素の一つである謎解きのパズルは、「ゼルダ」のように複数のアイテムを使い分けて解いていくというものではなく、習得したアクションを駆使して解いていくという感じで難易度はそれほど高くない。
アクションの数も洗練されており割と適正な数だと思う。パズル自体は殆どがプレイヤーの見落としで苦戦するところが多く、一定のルールとバリエーションを理解してしまえば、さほど難しくはない印象だった。
ただ、イベントの中でも竪琴チャレンジに関しては、いちいち譜面(弾く順番)をメモしなければいけないのが、システム的には不親切に感じた。不満と言ったらそれぐらいなのだから相当出来は良いと言っていいと思う。

ゲームの基礎となる部分は、さすが大手メーカーのUBIが作っているだけあって、UIもシステム部分、バランス調整などツボを抑えた出来になっていて、あらゆる場面で完成度は高い。
まあ、作り込みが甘い部分がなくもないのではあるが、あえて探し出してつつき回すものでもないだろう。
なにせ、ゲームクリアまでかかった65時間が、間延びせず夢中にさせるほどの面白さがあったのだから、それがこのゲームへの評価の全てと言ってもいいと思う。

「ゼルダの伝説 ブレスオブザワイルド」をお手本にした二番煎じ感は否めないが、良く出来たゲーム。





[2021/02/24]
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