ケイン&リンチ DEAD MEN


対応機種Xbox360
発売日2008/07/10
価格6800円
発売元スパイク

(c)2007 Spike / Eidos / Io-Interactive
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「ヒットマン」を代表作に持つIo-Interactiveが放つ、完全新作がこの「ケイン&リンチ」である。
良くあるサード・パーソン・シューティングだが、仲間と共に目的を遂行するのは珍しいスタイルと言える。
題名にもなっているケインとリンチは主要キャラの名前で、二人同時プレイモードでは、リンチも動かせる(オンラインプレイは未対応)。

この会社は、ハードボイルドなストーリーや世界観を構築するのが上手で、本作はそれに特化した作りと言える。
とある事情から裏社会に生きる(表社会に戻れなくなった)2人が、裏組織The 7によって刑務所から連れだされ、個人的な事情から反社会的行為に手を染めさせられてしまう。

銀行強盗、刑務所から脱獄の手引きをする、テロ行為を行い警官相手に攻撃を仕掛けるといった、アンダーグラウンドなシチュエーションが全編にわたって展開する。
なかでも、途中で日本がステージの舞台になるのだが、外国人から見た日本というのが、なかなかいい感じにずれていて面白い。
しかし、それを除けば、何の変哲もないありきたりなサード・パーソン・シューティングであって、ゲーム的にこれといった面白さは見られない。

一人で行動するのではなく、仲間(最低でも相棒のリンチはどのステージにも付いてくる)と行動を共にする。そのため、一度プレイヤーが致命傷を受けたとしても、一定時間内にアドレナリン注射を他の仲間から施してもらえば復活できる。
逆に、仲間がやられてしまった場合、こちらで助けてやらなければならない。これは、初見殺しが出来易いこの手のジャンルのゲームでは、良いセーフティネットになっていると思う(初見殺しがなければもっといいがなかなか難しい)。
コンピュータのAIは時々とんちんかんな動きをするが、ある程度こちらで指示することも出来る。勝手に前進して自滅することもあるが、邪魔なときはとりあえず待機させれば困ることはなかった。拳銃の命中精度がなかなか高いので苦手なプレイヤーはNPC任せにしても良い。

ゲーム構成は適当に派手で、スピード感もあり、バリエーションに富んでいる。しかし、一部で理不尽な部分があり、何度もプレイして覚えなければクリアーできないシーンも多く見受けられ、不親切に感じた。
それ以外は、この手のゲームに慣れていれば気になるところのない標準的な作りで、可もなく不可もなくといったところ。

ジャケットの裏を見ると、ストーリーもかなり自慢出来る仕上がりのようであるが、翻訳が下手なせいもあるのかもしれないが、自信たっぷりな割に、ムービーシーンのクオリティは高くない。シナリオもサバサバしすぎてるし、語り不足でたいしたことがない。
こういうのはやはり、日本人が得意とする分野だろう。なにより、主人公の娘のジェニーが壊滅的に可愛くない。ゲーム上のキーキャラクターなのに、あの不細工さは無い。がっかり。心底がっかり。
終盤で、(プレイヤーの行動によって)わざわざエンディングを分岐させる意図も不明である。真のエンディングに到達しても、なんだかすっきりしない終わり方だし。実はまだエンディングがあるのではないかと探してしまったぐらいだ。

日本語音声に切り替えて遊ぶことが出来るが、字幕と声があっていなかったり、たまに英語音声で再生されたりする。音声周りの作り込みが甘く、バグが目立つ。ローカライズはしっかりやって欲しいものだ。

最初の操作説明のステージで、覚えることが多い印象を受けるかもしれない(仲間への指示が特に煩雑な印象を受けるかもしれない)が、実際はそれほど複雑なシステムを覚える必要はない。一般的なサード・パーソン・シューティングとやることはほとんど同じだ。逆を言えば個性に乏しいと言える。

グラフィックは基本的に質は高いが、場所によってはのっぺりとしたテクスチャーで、チープな印象を与える箇所が気になる。処理落ちも多く、とりたてて評価できる水準ではない。

オンライン対戦では、全く仕様の異なるフラジールアライアンスという、裏切りをテーマにした対戦プレイを遊ぶことが出来るが、こちらは未プレイ。勿論ネットワークを介さずローカルでも遊ぶことが出来る。

反社会的なショッキングなシーンを売りにして話題性を集めようとしただけで、ゲームとしてはこれといった特徴のない、見所のないゲームと言える。見た目で売るならもっとド派手に爽快感を与える作りにすべきだ。地味すぎる。
かといってゲーム内容で補えているかというとそうでもない。惜しいゲームだ。そこで結論。

題材は面白いがゲーム自体が雑。もう一歩な作品。





[2010/08/22]
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