キングダムハーツ3


対応機種プレイステーション4
発売日2019/01/25
価格8800円
発売元スクウェアエニックス

(c)2019 SQUARE ENIX / Disney
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ディズニーとスクエニの夢のコラボレーション作品、キングダムハーツのナンバリング3作目が遂に登場!
ナンバリングとしてはPS2で2005年以来だから実に14年ぶり。外伝作品を含めても完全新作は3DSの「ドリームドロップディスタンス」の2012年以来なので、そこから数えても7年ぶりとなる。
ゲームの概要としては、数々のディズニー作品が登場し、そのストーリーを軽く追体験できる3Dアクションゲームといった所。これだけでもある意味「勝った」も同然なゲームだが、今回の完成度の高さは如何ほどになっているのか!?

まず圧倒されるのがグラフィックの凄さである。PS2で発売された2の時点でもそれなりに満足の行くクオリティに着地していたが、さすがにPS4/XboxOneでも同じという訳にはいかない。
具体的にはクレイアニメのような質感でリアルタイムに映像がなめらかに描写されており、その姿はまさに圧巻。CG映画の作品は元の映像と見劣りする部分がまったくないし、実写作品のパイレーツオブカリビアンも勿論映像面がブラッシュアップされていて、見事の一言。
また、看板シリーズに自前の自社エンジンではなく、アンリアルエンジンを採用しているところも注目すべき点の一つ。稀にカクつくことがある程度だが、基本的には滑らかにグラフィックが描画され、映像品質はピカイチ。
データ量の割には、ローディング時間も早いし、よくぞここまでゲームエンジンの性能を引き出したと拍手を送りたいところだ。

ストーリーを楽しむためには、過去作品をやっていないと楽しめないようになっていて、つらい。
過去作品と言っても、ナンバリングだけやってれば良いというわけではなくて、過去に発売された外伝作品も含めてプレイしていなければ、何がどうなっているんだか、さっぱり理解できない。

基本的には、PS4で「キングダムハーツHD1.5+2.5リミックス」と「キングダムハーツHD2.8ファイナルチャプタープロローグ」という2本の決定版が出ているので、この2本を遊べばよいのだが、収録作品を全部遊ぼうとすると100時間くらいは覚悟しなければならなくて、やっぱり厳しい。

一応、過去に何が起こって今があるのかということを振り返れるモードが用意されている配慮があるものの、シリーズ未経験者や、1や2しか遊んでいない人からすれば、「そもそも何が起こってるんだかよくわかんない」状態を脱することはできないだろう。
この辺に関しては、はっきり言って、風呂敷を広げすぎ!!
反面、ゲーム後半になってくると、オールスター的な展開になってシリーズを追ってきたファン限定にはなるが、熱い展開で盛り上がれる。
また、たくさんの伏線がこの作品で一挙に収束していくところは、やはりシリーズファンのみという但し書きがつくのであるが、感動すること請け合いだろう。
ただ、露骨に続編に続くような終わり方は辞めてほしかった。匂わせる程度の終わり方ならいいのだが、せっかくここまで広げてきたストーリーを綺麗に終わらせていたのだから、シリーズ集大成という意味合いとしても、それに水を差しているように感じてしまった。
というかもう、ゲーム業界のこのご時世、シリーズをこれからも続けられるのか?という心配が先に立つ。

ちなみにこれまで、このシリーズでは、「ファイナルファンタジー」シリーズのキャラが登場し、「ディズニーとFFキャラの夢の共演」という触れ込みでも話題になったものだ。
しかし今作ではもう、FFキャラを出す必要がなくなったのか、自社のゲームのキャラクターは全く登場しない。
キングダムハーツというシリーズが17年も続く人気シリーズになったことで、シリーズオリジナルキャラだけでも十分やっていけると判断されたから、“独り立ち”したのだろう。

ゲーム部分はどうか?というと、根本的な部分での進化はなく、大きな変化はない。例えば、ムービーが多くて長いというところとか、一部の場面で何やったらいいかわからなくなったり、グミシップの取って付けた感など。
ただ、それやめちゃうと、キングダムハーツじゃなくなるっていうのもあるし、ムービーの多さは無くしちゃうとディズニーとコラボした意味がなくなるので、良し悪し。
しかし、ビジュアルはこんなにも美しくグレードアップしたのだから、ゲームシステムも同じように大きな進化を期待してしまうのも確か。

プレイヤーは基本的に出てくる敵を倒すだけに終止していて、戦い方にもあまり変化がない。フォームチェンジで武器を変化させて戦うとか、壁や柱を使うと攻撃が変化するとか、仲間と連携するコマンドとか、色々飽きさせない工夫はある。
特に新しいのがアトラクションフローというもので、遊園地のアトラクションのようなものが突然現れて、豪快に敵をなぎ倒していくという特殊コマンドなのだが、これがなかなかに豪華で素晴らしい演出だ。
その中でも、シームレスにFPSが始まるものなんかは思わず感心してしまったほどだし、それ以外にも本作のバトルシーンは、まるでおもちゃ箱をひっくり返すような面白さがある。
しかし、それら新要素も、3,4時間もやれば見慣れてしまって、マンネリ化してしまう。

これまでこのシリーズは、アクションが妙にシビアなところがあって難しい一面もあったが、本作のスタンダード(ノーマル)モードでは、基本的にはボタンを適当に連打しているだけでクリアできる程度には難易度が抑えられており、ディズニーが好きだけどゲームは...という層にも入り込めるようになっている。
だが、今作でようやくその配慮を施しても、遅いような気もする。

マップがとても広くて、その上高低差もあって、空間がとても広い。マップが広すぎて、とてもじゃないが全部は回れないというぐらいマップがよく作り込まれている。
そんな場所で戦闘にもなるものだから、方角を見失ったりどっちに向かってるんだか迷子になることが多々あった。
良い、悪い、ではなくて、この圧倒的なスケール感は、これまでのシリーズにはなかったことで、没入感が物凄いある。

主にグラフィックやビジュアルを中心に新しいことを平然とやっているんだけど、それ以外のシステム的な部分ではあまり新しいことはやっていなくて、シリーズファンに向けて手堅く作ったという感じ。
まだナンバリングとしては3作目だが、外伝作品をいっぱい作ってきたこともあって、ナンバリング作品としてやるべきことや外しちゃ駄目なことが、わかっている感じで、大きく外すことはしてない。
が、代わりに、大きく新しいことにもチャレンジしてないので、実のところ、コアなシリーズファンほど、この内容だと物足りなく感じちゃうかもしれない。
しかし、もともとディズニーというライト層を狙ったタイトルなので、落とし所としてはこのあたりなのかも。
どっちにしろ、熱心にシリーズ作品を追ってきた、シリーズファン向けの内容なのには間違いがなく、一見さんお断りの空気が漂っているところだけは、どうにかするべきだったように思う。
まあ、3から入った人は、興味持ったらHDリミックス買ってねってことなのだろうけど、今作単体で楽しめると最高!だったかもしれない。

待っていたシリーズのファンに向けて作った、とても豪華な作品。





[2019/01/31]
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