キングダムハーツ ドリームドロップディスタンス


対応機種ニンテンドー3DS
発売日2012/03/29
価格5800円
発売元スクウェアエニックス

(c)2012 SQUARE ENIX / Disney
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ディズニーとスクエニがガッチリ組んだ人気シリーズ「キングダムハーツ」がニンテンドー3DSで登場だ!
今回はソラとリクの2人のキャラを交互に操ってゲームを進めていく。

なんというか、新要素に挑戦してたりもするが、基本的にいつもの「キングダムハーツ」ってな感じの出来具合で、新鮮味はない代わりに安定した内容となっている。

シナリオについて。
「キングダムハーツ」お得意の外伝作品ということで、悪く言えばお茶を濁した、小規模な仕上がりとなっている。
過去の外伝作品も含めた、すべての作品のキャラクタやエピソード、伏線が、ガンガン登場してくるので、過去作を全部やってないと楽しみづらい内容だ。
いちおう、シリーズ作品のあらすじを読めるようにしたりしてフォローされているのだが、やはり予めやってる人でないと楽しめない。

「キングダムハーツ2」でも、GBAのチェインオブメモリーズとつながってる部分があって、やってない人からわかりづらいという指摘があった。
個人的には、2単体でも、それだけで物語が完結してるので、楽しめないほどひどいとは思わなかった。
だが、今作に関しては、かなり密接に過去作(特に外伝作のバースバイスリープ)とストーリーが繋がってて、経験しておかないとまるで楽しめない代物になっている。
これは、ちょっとひどいと言える。

また、後付設定で色々ストーリーが足されていったので、「実は…」という展開が多すぎて、もう多少のことでは驚かなくなってしまった。
もっと言えば、ゲーム終盤に真相を明かされても、なんとも思わないような冷めたものになってしまっている。
ソラが…、リクが…、光と闇が…、キーブレードが…。初期の頃から引っ張りすぎていて、くどすぎるのである。
あと最近このゲームに限った話ではないのだが、ゲームのシナリオでタイムトリップを扱ったものが多すぎる気が?

ディズニー作品の収録ラインアップも、安く仕上げたかったのか数が少ない割に、ミッキーが主役のものが重複しており、個々のストーリーもいつもと比べ薄味で物足りなさが漂っている。
このあたり、もうちょっと踏ん張って欲しかったところだ。

ゲームシステムについて語る。
ARカードをカメラ撮影してドリームイーターを仲間にしたり、タッチパネルを使ったアクション、リアリティシフト、
通信対戦や、すれちがい通信など、ニンテンドー3DSの機能を頑張ってひと通り使っているのだが、とりあえず使ってみたという感じで、ゲーム全体との統一感がバラバラだし、個々の要素がゲームを面白くするために機能しているわけでもない。
どのシステムも、ただ入れただけという感じで、どうにも散漫な印象を受ける。
色々新しいことをやりたかったのはわかるのだが、やる以上は、そのアイディアがゲームをどう面白くするのかなどしっかり考えて組み合わせていかないと、ただ取ってつけただけのつまらない要素の集合体となる。

例えば、タッチパネルを使わせるリアリティシフトは、ボタン操作で忙しい3Dアクションゲームなのに、突然そんな操作を脈略なく入れられても使いこなせないし、タッチ操作を強制されるシーンがいくつか入るのだが、ただうっとうしいだけでそのプロセスに面白さがまるでない。
「キングダムハーツ」は、こういう小細工をしなくても普通のヒット&アウェイとコンボアクションで、十分面白いんだから、余計な操作をこれ以上入れる必要はない。
フィールド上のギミック(壁や木)に突進(Yボタン)することで発動するフリーフローアクションが新しく搭載されていて、それなりに見た目が派手で爽快感があって面白いのだが、
今書いたように、元々のアクション操作がそれなりに沢山入っているので、これ以上新たにアクションを増やされてもゴテゴテした印象を与えてしまって、面白さよりも操作の複雑さに疲れてしまって楽しくない。
ちょっとシステムが頭でっかちになりすぎていて、入り込みにくくなってしまっている。

ドリームイーター(いわゆる敵モンスター)を素材を使って作って一緒に戦ってもらうシステムは、育成システムもそれなりに作りこまれていて、デザインも愛嬌があって可愛いし悪くないのだが、
出来ることなら、「キングダムハーツ」本編ナンバリング作品と同様に、ディズニーキャラをパーティに加えて戦いたかったものだ。
このようなシステムを採用したことで、ストーリ上で出会った人物と仲間になって一緒に戦うことが無いため、どこか疎外感があって寂しいし、なにか起こっても結局全部プレイヤーが解決するはめになるので、全然世界に入り込めない。

後は、このシリーズでいつも感じている不満点を指摘して終わる。

このゲームは、アクションRPGなので、キャラクタに経験値があって、敵を倒すことでレベルアップして強くなっていく。
逆を言うと、経験値を稼ぐために出てくる敵ときちんと戦わなければならないということだ。
これが、作業感を強めている。

敵を無視すると、キャラクタがいつまでたっても育たずにボス戦が辛くなり、結局レベル上げをしなければならなくなってしまう。
しかし、あまり沢山マップもイベントも容量の都合で用意できない。
PS2「キングダムハーツ2」の辺りはまだこういう問題は出てきてなかったと思うのだが、狭いマップに敵が密集して配置されていて、適正レベルを維持するために、プレイヤーはその敵と嫌々でも戦って掃除しなければならない。
ある程度はテクニックでカバーできるが、そもそもボス敵の行動アルゴリズムにセンスがなく下手くそなゲームなので、結局レベルに頼った力押しプレイに頼りがちになる。

他にも、通常のザコ戦などでゲームオーバーになってしまった場合、そのエリアマップに入った最初に問答無用で戻されてしまうのも古臭い作りだと感じている。
洋ゲーのチェックポイント制という考えが普及してきた時代に、運が悪いとプレイ時間の数十分が水の泡になってしまうというのはいかがなものか?
それも結局、先ほど指摘したように、適正レベルを維持するための作業プレイをしている最中でのゲームオーバーともなると、はっきり言ってやる気が無くなる。
ゲーム自体の考え方が2005年とかそれぐらいの時期で止まってしまっているのが問題だと思う。もちっと最近のゲームを勉強して欲しい。

今作ならではの不満点といえば、メニュー画面などのインターフェイスが恐ろしく悪い。この会社の取り柄とも言えるインターフェイスが、ありえないほど出来が悪い。どうしてしまったのかというほどひどい。
(拡張スライドパッドのせいなのかわからないが)キー入力のレスポンスが悪く重たい感じがした。戦闘中使用するアビリティコマンドを十字キーで切り替えるのが処理落ちしてるのか重たく不便なのが特に目立って感じられた。

立体視を意識したドロップステージが操作性も悪いし画面も見づらいし壊滅的につまらないこと。

リクとソラを交互に切り替えながらゲームを進めていくが、ドロップゲージというものがあり、同じキャラをずっと使うことが出来ず、ボス戦など重要なシーンであっても、ゲージがなくなると強制的に切り替えさせられる(セーブポイントでは自分で切り替えることもできる)。
2人のキャラが主人公になっているが、互いがゲーム的に干渉することはなく、ゲームの舞台が一緒なだけで、2人分のシナリオを交互にプレイしているだけである。
ドロップゲージが何かゲーム的に面白いアクセントになっているならともかく、これなら、強制的にキャラ変更させる意味が全くないのである。
両方のキャラクターのシナリオをやらないと結局先に進めないように作っているし、なんかもっと斬新な新しいシステムを期待していただけにこのオチはがっかり。ものすごくがっかり。

厳しめに書いているが、これはこのシリーズのゲームの作り方や考え方、方向性がどーにも好きになれないからである。ゲームそのものは決して遊べない出来ではない。そこで結論。

ファン向けソフト。本腰入れた3はまだか!?





[2012/04/01]
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