THE功夫


PCエンジン初期に発売された、中国拳法を題材にした横スクロールアクションゲーム。

PCエンジンの性能を見せつけさせるためか、
キャラクターが異常に大きく緻密に描かれている。
特に肌の質感が、のっぺりとした単色塗りでは無く、
筋肉の細かな部分まで描かれていて、非常にリアルである。

キャラの大きさは、等身が画面半分以上にまで及ぶ大きさで、
とにかく迫力がある。

そして、バックのグラフィックもかなり綺麗で、とにかくインパクトがある。

ゲームそのものは、はっきりいってバカゲーと言っていい。
個人的には味ゲーと思っているが。
出来そのものは悪くないどころか、良いぐらいなので。

アクションとしての自由度はあまり高くない。
一度画面を先にスクロールさせてしまうと戻れなくなくなってしまうので(確か勝手に右に進んでいかなかったっけ)
それによって否応なく向かってくる敵と対峙しなくてはならない。
ちょっと後ずさって微妙に位置を取りながら戦うなんていう卑怯な戦い方は許されないのだ。
敵は、なんだかよくわからない黒ずくめのヤツとか、
上半身裸のカンフー映画によく出てきそうなヤツとか、変なヤツばかりだ。

他にも画面外から、誰が投げてきたのか分からない
小石や、矢や、有り得ない軌道で飛んでくる扇(勿論当たるとダメージ)、大きな皿、
果ては画面全部を覆い尽くさんばかりの大岩などが、
鋭く主人公めがけて襲いかかってくる。

ステージ間に用意されているボーナスステージでは、
目の前にある大壺をヌンチャクを使って上手く割るという物なのだが、
タイミング良くボタンを押さないと、自分の体に当たって、とても痛々しい演出が入る。
これにはとことん笑わせてもらった。

ステージ数は全部で5つしか無いが、一つ一つが印象に残る濃い物ばかりで、
やたらとボリューム感だけはある。
ボスも個性派揃いで、飽きさせない。

多くの敵は真っ正面からぶつかってくる正々堂々としたのばかりだが、
最後のボスだけは違う。
ヤツは酔拳の使いで、一番厄介な相手だ。さすが、最後のボスだけはある。
しかし、こいつはとんだ卑怯者で、バーチャファイター2のラウよろしく
腰に下げた酒瓶を飲むことによって体力を回復させてしまうのだ(まぁ、ラウは回復しないが)
これは無制限に行ってくる行為なので、一気に倒してしまわなければならない。とてつもなくずるがしこいヤツだ。

エンディングもとても感慨深い物で、
夜明けの太陽を背に、今まで倒したボスの顔が次々と表示されていく
なんだか、やたらとすがすがしい物になっている。

これは、当時のアーケードゲームに勝るとも劣らない出来で、
キャラの大きさも相まって、とても爽快感があって面白い。
様々な部分でのお馬鹿な演出も、魅力の一つである。

中でも気に入っているのが、タイトル画面で放置していると流れるデモ画面だ。
これは、一度ゲームオーバーになった後にタイトル画面でデモ画面を見ると
なんと、自分が死ぬ間際のプレイにデモプレイがすり替わっているのだ。
後から自分の断末魔を見るというのは、なかなか新鮮で面白い。
このゲームは一人用だが友達といるときに「お前ここでテンパってたろ」なんて
盛り上がることがあった。

現在はなんとFOMA辺りであそべるようになっているようだ。
なぜ、こんなゲームを第一弾に持ってきたのか謎である。




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