対応機種 | ニンテンドーDS |
発売日 | 2009/03/19 |
価格 | 5490円 |
発売元 | スクウェアエニックス |
スクウェアエニックス刊行「月刊Gファンタジー」連載、TBS系列で深夜アニメ化もされた「黒執事」。ニンテンドーDSにも登場。
版権元である強みを生かし、原作者に直接監修を依頼し、ゲーム制作に関わらせている。
ゲームジャンルは、テキストタイプのアドベンチャーゲームである。作中タッチペンを使ったミニゲームが挿入される。
バックログやログ表示など、この手のアドベンチャーゲームに付いているインターフェイスは一通りそろっている。
しかし、いまどきテキストがフルボイスじゃないのは大きなマイナスポイント。これは、ニンテンドーDSを選んでしまった弊害だろう。
ごく一部の台詞(キャラのよく使う台詞など)、かけ声を入れている程度で、ゲーム中ではほぼ喋らない。
一応、スケジューラー機能が付いていて、そこでのボイス収録は積極的な向きも見えるのだが、本編でその頑張りが見えない以上、貧相と言わざるを得ない。
タッチパネル操作を重視した作りだが、大抵の操作はボタンにも対応しており、操作性に関しての感触は良いが、一部の操作がタッチパネルにしか対応してないなど不備も目立つ。
喋っているキャラクタ名が会話ウィンドウにしか表示されない(大抵のゲームは、それ以外にも喋っていないキャラの立ち絵を暗くするなど工夫が見られる)ので、誰が喋っているのかわかりにくい。
一部のメッセージは、キャラごとに色分けして表示されるが、されない場合もある。
特にこのゲームは、ニンテンドーDSのゲームで、2画面にわたってゲーム画面を表示していて、一覧性に乏しい画面構成を取っている。
キャラの立ち絵が上に、下画面にテキストウィンドウなどが表示されている。重要な情報が下画面に集中しているので、いきおい、下画面に目がいきがちである。
文字が大きめなのは良いが、立ち絵やグラフィックが表示される上画面を見る機会が少ない。会話ウィンドウは上に表示しても良かったのではないかという気もする。
そうなると、グラフィック表示範囲が狭くなるジレンマ。
容量の都合でフルボイス化も出来ず、画面表示にも悩まされる。据え置き型のテキストアドベンチャーをニンテンドーDSでやるのは不向きだったんじゃないか?
主と執事、2人の視点から物語を見ることが出来て、選択肢も入るが、基本的にシナリオは一本道なので、はっきりいってつまらない。
プレイヤーを変えても、展開もさほど変わらない。わざわざ2周やる価値が無い。
全体的なボリュームも短い。この規模なら、オムニバスのストーリーを全部で3つぐらい入れても罰は当たらない。
タッチペンを使うミニゲームも数が少ない。ただ、クオリティとしては悪くはない。
ストーリーの合間に入る、探索モードがとにかくテンポを悪くしていてただただだるいだけだ。
いろんな部屋に入って、さぼっているタナカというキャラをタッチペンを使って探すのだが、
スクラッチして探すのと、虫眼鏡で画面をアップにして見つけるという2種類のアイテムで探させるのが、とにかくうっとうしい。
とばすことも出来るのだが、ここでタナカや隠れてるアイテムを見つけないと、おまけモードの内容が解禁されない。
ゲーム性やゲームボリュームに乏しいので、後から無理矢理付け足したんじゃないかと思う。やり込み要素を付けて商品寿命を延ばし、プレイ時間引き延ばし工作も出来て、一石二鳥というわけである。
価格が高いので、さぞ豪華な内容かと思えば、なんてことはない、そこらに転がっている凡作DS用ソフトとさして変わらない作り。
いくら人気漫画作品とはいえ、メーカーもニッチな作品というのは自覚しているようだ。単価を高くして、特定の熱心なファンに買わせようという魂胆だろう。
ゲーム難易度は全体的に低く設定されており、誰でも簡単にクリアーできる。版権ゲームは物に寄るが基本的にこれぐらいの難易度でいい。
ゲームを熱心に遊ばない人間が触る可能性が高いのだから、変に難しくして敷居を上げる必要はない。特にこのゲームを買いそうな層を考えると、これぐらいが妥当である。
プログラム周り、演出なんかは割と良く出来ているほうで、さすがスクウェアエニックスという感じはするが、やはり全体的に納得のいかないゲームである。そこで結論。
テキストアドベンチャーとしては駄作。DSよりPSPで作った方が良かったのでは。