対応機種 | ニンテンドウ64 |
発売日 | 2000/08/11 |
価格 | 6800円 |
発売元 | 任天堂 |
メルヘンタッチでほのぼのとした絵本のような世界を冒険するロールプレイングゲーム。
「スーパーマリオRPG」に続いて、マリオがRPGに挑戦した作品だ。
「スーパーマリオRPG」では、王道のRPG路線であったが、それをマリオでやるのはやはり違和感があったのか、基本システムはほぼ独自のものに置き換えられている。
そのため、「スーパーマリオRPG」と比較すると、やや取っ掛かりが悪くなってしまったような印象はあるが、“マリオをRPGにする”という視点から見れば、こちらの作品のほうが違和感が少ない。
ただ、やっぱり、マリオである必要性が薄いというか、マリオがRPGやることに対する違和感というものは、最後まで拭うことは出来なかった。
グラフィックで特徴的なのは、キャラクターがペラペラの紙で描かれていることである。
これが、ゲームシステムに寄与することが無かったのは惜しかったが、飛び出す絵本のようなほのぼのとした温かみのある雰囲気を醸し出している。
このように全体的にこだわりの強さを感じられる独創性の強いグラフィックは他のゲームと比べると、強いアクセントになっていて、それだけでも結果的に成功している。
ゲーム構成は、ステージで区切られていて、これは他のゲームで言ういわゆる章に当たる。
RPGでありながらアクション性も強く、敵と接触したらエンカウントするシンボルエンカウントを採用していることに加え、視点がサイドビューであることや、
所々にジャンプアクションが挿入されていたりして、それらが「マリオらしさ」を引き立てている。
その他、全体的なゲーム構成は、「ゼルダの伝説」に非常に近くて、最初は町で情報収集してストーリーが進展して、後半は「ゼルダ」風のダンジョン攻略が待っており、最後にはボス戦という流れを繰り返す。
全体的にゲームの作りがかなり丁寧で、ギミックのバリエーションも当然のように豊富で、謎解きのクオリティは中々に高い。
どうやら低年齢層向けに作ったらしく、難易度が抑えられているのが勿体無いぐらい。
それ以外に、サブイベントも充実しており、星のかけらを集めたり、バッジ収集といった遊びがたくさん用意されているので、ゲームクリア後も楽しめるようになっている。
戦闘システムは、普通のRPGと比べると、かなり大胆にアレンジを加えており、人によっては受け付けない可能性もある位。
例えば、数値的な強さというものが、かなり抑えられていて、敵に与えるダメージ受けるダメージが終盤に至るまでほぼ一桁でやり取りされる。
経験値を集めてレベルアップという要素はあるが、成長させられるのはいわゆるHP、MPとバッジ(装備品)を付ける時に必要なBPのみ。
攻撃力、防御力というものに実質的な成長はない(ゲーム進行でパワーアップすることはある)。
この事がどうゲームに影響しているのかと言うと、いわゆる力押しが効かないということである。
ダメージ数値に乱数もなく、ちょっとRPGとしてどうか?と感じられる向きもあるのだが、逆にダメージ数値に重みが出ていて、詰将棋的な面白さが内包されている。
プレイヤーは、連れている仲間を入れ替えたり、敵の特性に合わせてバッジを付け替えたり、複数ある攻撃コマンドを使い分けることで対処していく。
また、コマンド選択後に、指示された操作を成功させることで、コマンドの効果をアップさせることが出来るという要素が採用されている。
要するに、コマンド選択型RPGに、アクション要素を挟んでいるわけだが、最初の数回は物珍しくて楽しいのだが、正直まどろっこしい。
ただ、バトル自体は、戦略性が高く中々良く出来ている。それゆえに、アクション操作を戦闘中に挟むのはやりすぎと言うか、無くても良かったんじゃないか?と感じてしまった。
低年齢層向けに作っただろうにしては、戦闘に関してはやや本格的なので、アイテムを10個持ち歩ける救済策があるものの、それでも少々厳しいんじゃないか?と感じる箇所がいくつかあったぐらい。
任天堂のゲームだけあって、プログラムレベルも当たり前のように高く、気持ちよく動作する。
この辺り、もはやニンテンドウ64というハードは任天堂のために存在しているのではないか。と言っても過言ではないぐらい、任天堂ブランドのゲームはクオリティが高い(ゲームの出来とはあまり関係ない話だが)。
そこで結論。
マリオらしさを大切にしたRPG。