ことばのパズル もじぴったん


対応機種プレイステーション2
発売日2003/01/09
価格4800円
発売元ナムコ

(c)2001 2002 NAMCO
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文字をつなげて言葉を作る新感覚パズルゲーム。アーケードで稼働していたもののPS2移植版。

ゲームセンターで見かけた時は、中々斬新なゲームだと感じ、思わず何度もプレイしてしまった。
業務用のパズルゲームというのは、ともすれば地味に映りがちだが、可愛らしくセンスの良いデザイン、グラフィック、各種エフェクト効果、サウンドなどが秀逸で、そこを上手にフォローしていた。
当時から家庭用への移植を期待していたものだ。

というのも、ゲーム内容が、アーケードで稼働するにはあまりに不釣り合いだと感じたからだ。

詳しいゲーム内容はこの後紹介するが、アーケード版の場合(PS2版では「アーケードモード」で体験できる)、
遊べるステージがランダムに選出され、そのリストからステージを選択する。6ステージクリアしたらゲーム終了という流れだった。
業務用のゲームなので、途中経過が記録されたりもしない。システム的に自分が遊びたいステージを選んで遊ぶことが中々難しいのだ。
ゲーム自体は悪くない、何度も触りたいものだったが、これでは連コインして遊ぼうという気持ちにならない。インカム的には厳しいゲームになるだろうと感じていた。

ゲーム内容について触れる。
「あ」、「い」といった文字ブロックを空きパネルに置いて言葉を作っていく。
必ず何かの言葉になっていなければ、空きパネルに置くことが出来ない。一度に複数の言葉を作ると連鎖となり、高得点がもらえる。

ステージごとに異なるクリア条件が設定されており、それを達成するとステージクリアとなる。
クリア条件だけでなく、ステージマップの形状や使える文字ブロックが面ごとに全く違うものとなっており、どうやってクリア出来るかを考えなければならない。

このゲームの一番すごいところは、あらゆる言葉に反応する辞書システムだろう。ジャケット裏によると76500語以上収録されているそうだ。
おまけに、ゲーム上で言葉を作ると、それに対する意味までしっかり表示される徹底ぶりである。

普通にプレイする分には、相当やりこんでも一万語いくかいかないかという程度で、クリア条件に設定された単語だから作るがそれ以外ではまず使うことのない、というような単語も山ほどあると思われる。
よくこんな手間ばかりかかって面倒くさいゲームを作ろうとしたものだ。

おそらく言葉をテーマにした、似たようなゲームを他社が企画したこともあっただろうと思うが、実現させるには非現実的な辞書システムを作らなければならないので、そこでまず諦めるだろう。
しかしナムコは、作るのが大変なゲームを、力業で作り上げてしまったのだから、凄いものである。
そして老舗ゲームメーカーのナムコだったからこそ、ここまで破天荒な企画を綺麗にゲームとしてまとめあげた、とも言えないだろうか。

なんだか、制作者の苦労を褒めるようなことばかり書いてしまっているが、実際ゲームとしてはどうなのかということについて書く。

用意されたステージで、文字を置いていって言葉を作っていくというコンセプトは実際それだけでかなり面白いし、ゲームとしての見どころはそこが全てと言ってもいい。
それに、BGMや演出周りが自分好みなので、個人的にはかなり高く評価している作品だ。

だが、純粋にゲームとしてみた場合、苦言を呈する部分が数多くあるため、厳しめに取り上げる。

ちょっとやっていくとすぐ気づくのだが、思ったほど自由に言葉を作ることが出来ない。
“ゲームの腕前より語彙力が試される”といった触れ込みで売っている側面があり、PS2のジャケットには“ゲーム歴0年のやくみつるが絶賛”という謳い文句が入っているほどである(個人的にはやり過ぎと言うか場違いと思う)。

だが、このゲームは面クリア型パズルゲームとしての色合いが強いため、ステージ攻略のプロセスを楽しませるためにはどうしても自由度を犠牲にしなければならない。
中には空きパネルと文字ブロックが沢山あって、自由にやれるステージもあることはあるのだが、そういったステージは決して多いとは言えない。

また、制限時間という概念も厳しい。
アーケード出身のゲームなので、制限時間内にクリア条件を満たすという仕組みになっている。
多くのステージが制限時間を上手に使っていて、いいアクセントにはなっているのだが、本音を言うとやはりうっとうしいの一言に尽きる。
重ねて書くが、制限時間そのものを否定するつもりはない、多くのステージで制限時間を含めてゲームとして成り立っている一面があることは否定出来ない。
しかし、タイムオーバーになって考え途中で配置した文字がリセットされるというのが、やはりかなりストレスにもなっている。

そんなわけで、極端に難しいステージになると、紙に書き写して、辞書を片手にじっくり考えるという状況に陥ることがあった(さすがにそこまで行くのは終盤のごく一部の難ステージぐらいだが)。

なんというか、パズルとしてもゲームとしてもどっちつかずで中途半端といった印象。

純粋なパズルゲームとしては、ルールが過密で、とても複雑で、覚えることがやたらと多く、なんだかガチガチで疲れてしまう。
なぜここまでシステムが複雑化しているのかというと、“言葉を作る”というコンセプトが何においても最優先のゲームだからだ。
このためどうしても、システム側でバランスを取らざるをえないので、色々な制限を加える必要があったのだと思われる。

逆にゲームとしてみた場合、ゲーム的な爽快感や上達した実感が薄く、ゲームとしての面白さがどうにもピンと来ない。
ぶっちゃけると、最初にアーケード版を触った時の“不釣り合い”という感想の答えがここにあって、ゲームらしい技術介入が乏しく、ゲームを遊んでいるという感覚が無い。
このノリをアーケードでやる、というのは、かなり無茶苦茶としか言えない。
一応断っておくと、やり込むとそこそこに効率のよいクリア方法みたいなものは見えてくるのだが、基本的に面クリアタイプのパズルゲームなので、自分は上手くなった!という実感が他のゲームと比べるとやはり薄いと言わざるをえない。

結局、ハイスコアを狙う場合、問題を紙に写して、辞書を見ながら高い点数をとれる配置を考えて、考えがまとまったらゲームを起動して入力するというところに行ってしまう。
そうなると、このゲームとは一体何なのだろうという気持ちになる。
画面外でやっていることも含めてこのゲームを楽しんでいると一括りにして言えるのではあるが、もっとゲームを遊んでいるという実感がほしいのも事実。

この辺り、ゲーム上で試したいことが試せないことが原因になっている。
「ピクロス」じゃないが、試し置きモードがあるだけでもだいぶ変わってくると思う。
現状だと、置けない文字は置かせてもらえないので、正しいことしかやらせてもらえない。
しかし、ステージによっては試し置きしたくなるような場面が結構多くあった(この辺も、やはり基本ルールの複雑さが絡んできているように思われる)。

最後になるが、これは嬉しい悲鳴とでも言う感じではあるが、収録ステージ数がいくらなんでも多すぎ!!
アーケード版324面+じっくりぱずる(PS2版で新規追加分)324面(うち24面は隠し扱い)+スペシャル(PS2版で新規追加分)4面の合計652ステージである。
序盤はサクサク簡単にクリアできるが、中盤辺りから歯ごたえのあるステージも増えてきて、1面1面が手こずるようになってくる。
ゲームソフト2本分はあるといってもいい(3本分といっても言い過ぎでない)とてつもないボリュームである。

アーケードモードを制覇するだけでやりきった感があったが、気を取り直してじっくりぱずるもプレイした。が、エクストラステージ(残り20面辺り)に少し手を付けた所であまりの難しさとそこまでの長さに挫折(プレイ時間はこの時点で118時間に到達していた)。

かなりプレイしたが、どうしても馴染めなかったのが回転パネルである。
回転パネルの上に文字を置くと、パネルが回転して位置が変わってしまう。他にも置くとパネルが動くものはあるのだが、置くと90度回転する、180度回転するのが回転パネルの特徴である。
これをやられると文字がどこに行ってしまうのかわかりづらくなる。それが狙いなのだろうが、回転パネルだけで構成されたステージは、それだけで難解で、頭が痛くなる。

ちょっと書いたが、収録ステージのスペシャルモードの4面は、企業とのタイアップ問題になっている。
これらのステージをプレイすると、最後にタイアップ企業の広告が入る。
これはおそらく、PS2以降問題になっているゲーム開発費の高騰で、そのコストを抑えようと、ゲーム内広告を試みたのではないだろうか。
とはいえ「もじぴったん」自体は、ムービーを使ったりリアルなポリゴン映像を使っていないので、高コストに悩まされるゲームではない。他のゲームでも使えないか模索しているのだろう。
そこで結論。

新機軸のパズルゲームのため問題点も目立つが、高いレベルでまとまっている良作。





[2015/02/18]
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