dancing blade かってに桃天使!


対応機種プレイステーション
発売日1998/08/27
価格5800円
発売元コナミ

(c)1998 KONAMI / Konami Computer Entertainment Tokyo / 京都アニメーション
戻る

本作はゲームとして売っているが、実態はほとんどアニメを見ているだけで、ゲーム性は全くない作品だ。どちらかというと、OVA(オリジナルビデオアニメ)のノリだ。

ゲームが始まると全編、アニメーションムービーがひたすら途切れなく再生される。ところどころ選択肢を選ぶ場面が入ってくるが、似たタイプのゲームと比べると選択肢や分岐も圧倒的に少ない。
2つの話が入っており、エピソード一個に大体30分程度のムービーで、合わせて60分ほどになる。CD-ROM3枚に収めており、大体一枚に20分程度のムービーが収録されている。ムービーはフルサイズで収録しているので、容量的にはこんなモンだろう。

途中の選択肢によって、登場人物の好感度が上下し、最後に一番好感度が高かった人物とのエンディングムービーが見られる。ゲーム性があるとしたらこのへんだが、そもそも選択肢自体が少なく、練り込み不足のままいれた感じで、蛇足感が拭えない。
というか、メインヒロインの桃姫のエンディング条件だけ厳しい感じがするのだが?

選択肢の選択で若干、違うムービーが流れるので、各エピソード2回は楽しめるが、それ以降は新鮮さがなくなり、見たいとは思わない。

一度見たシーンを飛ばしたり出来ない。これが実に致命的で、ビデオテープで例えるなら早送りが出来ない状態である。2周目以降が苦痛となる原因になっている。

ハードの扱いにも慣れてきて、それなりにムービーの画質も劣化しないまま収録できるようになっているが、ゲームという媒体を選んでしまった弊害で、どことなく映像がぎこちなかったり、シーンのつなぎ目が綺麗に繋げなかったり、違和感も多い。
映像ソフトであることを売りにしているわりには、そのへんの品質管理がしっかり出来ていない(というか限界なのだろう)。

さて、これをOVAとして価値を計ると、2話入って6000円。まあ相場を考えると、適正価格とも言える。だが、前述のとおり、本編で好きなシーンを任意で再生できない(オプションモードで好きなシーンを別個に見ることは出来るが、不便である)ことや、
画質の問題(単純に映像の綺麗さだけでなく、効果音なども含める)も含めると、問題点が多いと考えざるをえない。
また、これを映像作品として捉える人がどれほどいるのかも疑問である。ゲームという媒体で出している以上、その物差しで価値を計られるのは当然の流れで、これはゲームおたくから失笑を買う作品になりそうで怖い。

アニメの内容は、オタク向けの美少女アニメに分類される。声優は豪華なんだけど、中身が伴っておらず、とりあえずかわいいキャラ作ったから、見せ場だけを用意してジェットコースター的に見せていくという強引な展開が目に付く。
ちなみに、クリア後のおまけモードで続編が製作中であることをほのめかしている。正直この内容では、ファンが付くことは難しいと思う。

OVAで出す場合、競争率もシェアも厳しい状況で出すことになるが、ゲームソフトとして出せば、出来の善し悪しは別として、売れるのではないかという発想は悪くはないが、誰もが中々やろうとは思わないリスクの高い戦略と言える。

しかし、SCE「ダブルキャスト」といい、これといい、ソニーの倫理規制は任天堂並と言われる堅さだったが、最近は緩くなったのか、大胆な作画が目立つ(本場のアダルトOVAには到底叶わないレベルだけど)。

世間はムービーゲーブームなのかもしれないが、連続でムービーを再生し続けることは本体のヘッダへの負担が大きいらしく、長時間稼動しているわけではないのに、シークミスを連発したりするのもあって、個人的には好きではない。
容量的な問題も大きく、ディスクの入れ替えが頻繁に発生するのも快適さを削いでおり、このことはゲームディスクを映像作品として使うことに不向きであることを示している。そこで結論。

これはゲームのOVAだ!これが商売になるかどうかは神のみぞ知る!





[2011/03/01]
戻る

inserted by FC2 system