モンスターメーカー 闇の竜騎士


対応機種PCエンジン(SUPER CD-ROM2)
発売日1994/03/30
価格7800円
発売元NECアベニュー

(c)1994 NEC Avenue / U-PLAN / SHOW KIKAKU / OFFICE K / KUGATSUHIME
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九月姫のメルヘンタッチな可愛らしいイラストが特徴的なカードゲーム「モンスターメーカー」をPCエンジンでRPG化したもの。

ファミコン、ゲームボーイ、スーパーファミコンで既にCRPG化されている作品だが、PCエンジン版はNECアベニューが仕切っていることもあって、超大作RPGの扱いを受け、注目度が非常に高かった。
だが、年単位での発売延期を繰り返し、いざ発売されても、致命的なバグの数々、明らかに未完成と言える要素の多さなど問題が多く、業を煮やしたメーカー側が発売を強行したとしか思えない出来に不満が噴出した。
(あまりの不祥事の多さに、今ではすっかり有名人となった多部田プロデューサーが本当に坊主頭になってPCエンジン専門誌で謝罪した逸話がある)

元がカードゲームということで、CRPGだがTRPG的な要素を取り入れたゲームシステムだったが、PCエンジン版では、極めてオーソドックスなスタイルのCRPGになっており、取っ付き易い作りになっている。
ただ、「モンスターメーカー」というタイトル通り、敵モンスターを仲間にして、合体させるアトラス「女神転生シリーズ」でお馴染みのシステムが採用されている。

一見すると、割と出来はよく見える。
ディスクアクセスは全般早い、フィールドマップもしっかり出来てる、イベントシーンでは有名声優にボイスを当ててしゃべる、ビジュアルシーンのクオリティーが高い。
PCエンジンのRPGで基本的に押さえておくべき部分はちゃんと心得ていて、ここまで見た限りだと、全く問題が無いようにみえる。

だが、バトルシーンに問題が集積しており、とにかく戦闘周りの出来が悪い。というか、明らかに出来上がってない状態で出してる。
まず、バグの大半がバトルシーンに集中している。エンカウント時にフリーズする、表示が突然バグる、特定箇所でエンカウントすると徐々にSEが小さくなり最後には聞こえなくなる、など。
あとひどいものだと、本体の問題か切り分けがわからなかったが、稀にエンカウント時に、ヘッダが高速回転して動作不能(フリーズ)になる挙動を起こすこともあり、ゲーム機本体へ負担をかけるバグが残されたまま発売されている。

戦闘バランスも滅茶苦茶で、状態異常のルール、ダメージ計算、出現する敵の数の多さなど、あらゆる部分がとにかく稚拙で、ちゃんと設計、調整が出来てない。
また、当時失笑を買った出来事として、先ほど述べたモンスターを仲間にして合体させる「モンスターメーカー」というシステム。
これが、ほぼ全く機能していないため、売りでありながら、実質的にはそのシステムを遊べないという、とんでもない状態になっている。
具体的には、モンスターを仲間にする魔法の成功率が異常に低く、積極的に試そうとしても、試せないようになっている。
加えて、バトルシステムが未調整のままなので、実用性がないのも問題となっている。
強制的にパーティに加わる人間キャラのみで、これといった不自由もなくゲームが進行出来てしまうため、手間暇かけて試行錯誤する必要性が無い。

ゲーム序盤こそ余裕のある作りではあるのだが、ゲーム後半に差し掛かると、行動範囲が限定されることが増え、極端に町が減り、目的地のダンジョンは塔ばかり(マップチップの使い回し)、宝箱を開けてみても空っぽの箱ばかりという、明らかに作りこむ時間が取れなかった片鱗が見られる。
スタッフロールを見る限りだと、「モンスターメーカー」側の会社が主導で開発していたようだが、どうも長期間人手不足だった問題を解消できなかったっぽく、それが今回のような不幸につながったのではないかと思われる。

とにかくフリーズバグの遭遇率が高く、特にまともに戦闘していると頻度が極端に高まるため、町の周辺で頻繁に回復&セーブしながらレベル上げをして、先へ進めるときは逃げるというプレイ以外では遊べたものではない。
(どうも、戦闘中のプログラムにバグの原因があるらしく、戦闘を避けるようにプレイしていると、動作がかなり安定する)

二部作構成のために、この作品単体でストーリーは完結せず、いいところで「続く」となって幕切れする。
これは、苦し紛れに未完結としたのではなかった(はず)。エンディング時に、続編で使用するデータが作成される。

ひどいゲームではあったが、発売から約1年後に、雑誌で後編にあたる作品「神々の方舟」がHuビデオ対応となって画面写真付きで紹介されると、「つぎこそはちゃんと面白くなってるはず」と期待してしまう不思議なゲームであった。
そこで結論。

出来損ないの未完成品だが、なぜか憎めない作品。





[2014/06/04]
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