ラジアータストーリーズ


対応機種プレイステーション2
発売日2005/01/27
価格7800円
発売元スクウェアエニックス

(c)2005 SQUARE ENIX / tri-Ace
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トライエースが送る完全新作RPG。それが「ラジアータストーリーズ」だ!!
剣と魔法のファンタジーというコテコテの世界観で送るRPGで、戦闘はトライエースお得意のリアルタイムアクションバトル、総勢150名以上が仲間になる多彩なパーティメイキング、
時間の概念があり町の住人達はそれぞれ設定されたとおりに行動するシステムなどが特徴として挙げられる。

グラフィックはイメージビジュアルに合わせた水彩画風で、よく動くしオブジェクトは蹴ればきちんと反応があるしで、おしなべてクオリティが高い。
フィールドはサイドビュー視点だが、「ヴァルキリープロファイル」のように完全なサイドビューではない。サイドビューというよりかは細い道を歩いている感じである。
マップ構造を単純化させる意味合いで採用したのだと思うが、本作に限っては逆効果。
視点と方角が噛み合ってない場面があって、どの方角に向かっているのかがとにかく分かりづらい。この辺り、ほとんど感覚的に覚えていくしか無い作りになってしまっている。
サイドビュー視点を採用するのであれば、R1ボタンで見れる全体マップをミニマップとして表示させるぐらいのことはやってしかるべきだったと思う。うーん、惜しい限り。
ダンジョンなどマップが見えない場所だと、構造がとにかく把握しづらくて、(使い回しに見える)似たようなマップが続いて、自分がどこにいるやらわからなくなり迷うこと必至。
そこまでしてサイドビュー視点にこだわる必要があったのか疑問になる(この辺り、「ヴァルキリープロファイル」は割とうまくやっていたと思うのだが、トライエースどうしてしまったのか!?)。

会話のインターフェイスがイマイチ。というのも、細い白文字で映画の字幕風の表示なのだが、これだと背景に溶け込んでしまって見づらいことが多いのだ。
おまけに、一定間隔で自動でメッセージ送りされてしまうので、セリフを読み逃すことがあり、あまり良い状態とは言えない。張り紙を調べたときなどメッセージ送りされないものもあるので、意図的にやっているのだろう。
ただ、会話時に顔グラフィックが3Dポリゴンでズーム表示されるのは、中々面白いと思った。表示や切り替えにやや引っかかりを感じるのは気になるが、イメージを壊していないし違和感もないしで一石二鳥だ。

戦闘は、当然のようにリアルタイムのアクションバトルを採用している。もう、このへんはトライエース作品としては当たり前とでも言うべきだろうか。
しかし、なにか新しいことをしているかと言うと、特筆すべきシステムなどはなく、トライエースのゲームを好んでプレイしている人からすれば、「物足りない」の一言かも知れない。
強いて言えば、自分でコンボする技を設定してコンボを組み立てていけるという要素ぐらいだろうか。
とはいえ、スキのない技が全般的に強いわけで、武器を使い込むと覚える大技なんかは使い所があまりないのはもったいなかった。

ちなみに、戦闘時に操作できるキャラは、主人公「ジャック」のみ。他のキャラクターに切り替えたりは出来ない。パーティメンバーになにかやってほしい場合はそのかわりとして指示を出すというコマンドで行う。
装備品の付け替えなども主人公のみで仲間のぶんは出来ない。これは、たくさんのキャラが仲間になる関係上、装備品の取り換えなど管理が煩雑になるからだと思われる。結果的にシンプルになり、仲間の個性も引き立つ方向に行っていると思う。
ただ、主人公がやられると即ゲームオーバーなのは厳しい。主人公=プレイヤー=パーティのリーダーだからなのだろうが、ゲーム後半はボルディブレイクという超必殺技を繰り出すボスなどが出てきて、これを食らうとひとたまりもないというバランスにあり、少々理不尽さが漂っている。

戦闘は終始、割と単調で、回復役さえ入れときゃボタン連打してるだけでOKみたいな展開になりがち。
またその割に、それなりに経験値稼ぎをしなければならない局面もあり、バランス調整は雑な印象がある。
シンボルエンカウントなのだが、一度倒した敵は日付をまたがないと復活しないこともあって、レベル上げは時間がかかりがちな作りになっているのも惜しい。

敵のターゲット切り替えが自動で行われるんだが、近くの敵に自動で切り替わるみたいなわかりやすい作りじゃなくて、視線の先にいる敵に切り替えというのも、法則性が分かりづらく、地味にイライラした。
これに限らず、戦闘シーンは全体的にツメが甘い作りで「どうした、トライエース?」な気分になった。

ストーリーやシナリオ周りについて。
ストーリーは割としっかりできているのではあるが、プレイヤーに十分に世界設定や内容を知らせないまま進行してしまっており、ムービーで尺をたっぷりとっている割には説明が不足している印象がある。
ゲーム途中でシナリオが分岐するのだが、そもそも分岐させる必要性があったのだろうか。
分岐するのが、ストーリー中盤以降で、再プレイするには辛い位置。保険セーブを取っておけば負担は無いに等しいが、1周プレイにそれなりの時間を要するRPGでいたずらにシナリオを分岐させるのはあまり好きな手法ではない。
1周丸々ガラリと違うっていうのなら、また状況は変わるのではあるが...。本作の場合、かなり早い段階でシナリオが分岐すれば、効果的に作用するだろうにと感じた。

一方で、町の住人それぞれが時間に沿って行動するシステムは、中々に面白い。似たものだと任天堂「ゼルダの伝説 ムジュラの仮面」、SCE「高機動幻想ガンパレードマーチ」などで既に実現済みのシステムなので、それらを知ってると目新しさは無いが、こういうシステムがあると、一気に町の住人一人ひとりにも生活感が出る。

ただ、本作の場合、設定されたとおりにキャラクターが行動するというだけで、それ以上の広がりがなかったのが惜しかった所だ。
「ゼルダの伝説 ムジュラの仮面」のように、特定のタイミングでイベントが発生してそれを追っていくみたいな広がりがなかったのは勿体無い。
大抵は、お使いイベントに終止していて、仲間になるキャラが必要としているアイテムを探してきて渡すという程度で、もっとイベント自体にストーリー性があると、良かったように思う。
また、仲間になったキャラクタはリストに追加されて解説文を読むことができるが、仲間になってないキャラは素性がわからないので、プレイヤー側がかなり積極的にプレイして調査していかないとイベント自体に気づきづらい作りになっている。
せっかく細かく作り込まれているのに、なんとも惜しいというか、勿体無い作りとなってしまっている。

ディスクアクセスも軽快で、大作RPGらしくゲームとしてのクオリティも高めではあるのだが、細かい作り込みまで手が回らなかったようで、「ココを作り込めば凄く良くなるのに!!」という部分が非常に目立つ惜しいゲームである。
ただトライエースのRPGではつきもののバグらしいバグがないというのは良かった。バグに限らず、あらゆる面でトライエースらしくないRPGといったら凄く納得かもしれない。
全体的に見た目は素晴らしいんだけど、なんだかスカスカしているという仕上がりになっており、非常に勿体無い(開発期間が足りなかったか!?)。

光る点も目立つが、肝心な部分の作り込みが足らず物足りない作品に。





[2019/03/11]
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