ロマンシングサガ3


対応機種スーパーファミコン
発売日1995/11/11
価格11400円
発売元スクウェア

(c)1995 SQUARE
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自由度の高さが特徴的なフリーシナリオシステムと、技の閃きシステムが熱い人気シリーズ「ロマンシングサガ」シリーズ第3弾!!
今作は、主人公8人から1人を選ぶ1作目の形式+戦闘システム全般を2作目の形式という、これまでで好評だった要素を合体させた実に手堅い作りとなっている。
イラストレーションは変わらず、小林智美氏。今回はまさに正統派な続編と言っていいだろう。果たしてその、完成度は如何ほどとなっているのか。

戦闘の難易度がかなり下がっている。まず、ザコ戦で全滅することはないだろう。ボスも終盤を除けばそれほど強さはなく、スムースに気持ちよく進めることが出来る。
サガもやさしくなったもんだが、人気シリーズとして“万人向け”に売っていくとしたら、これぐらいやって当然だろう。

今回もLPのシステムを採用しているが、宿屋に泊まるなどで全回復するようになったため、前作ほどタイトではなくなっている。
よほどのことがない限りLPが0になることはないが、0になるとそのキャラが消滅してしまうのも思い切って撤廃したほうが良かったように思う。

前作の七英雄を踏襲した存在として、四魔貴族という倒さなければならない中ボスがいるのだが、本当に“いるだけ”という存在で、折角、数を絞って個々の個性を引き立たせているのに、肝心の存在感に乏しい。
これだったら、前作の七英雄のほうが遥かに良かったと思わせてしまう立ち位置で、本当に勿体無い。
また、なぜ四魔貴族と戦うのかという動機づけも描かれてなく、この辺はロマサガシリーズ特有の悪癖、イベントシーンの描写不足が如実に表れている場面だと言えないだろうか。
終盤の展開も唐突で、もう少し世界設定とか、ストーリーとかを必要最低限でも良いから、描いて欲しかった。

1作目のフリーシナリオシステムを踏襲した路線ではあるが、選択肢によって結果が分岐する、「究極の選択」に迫られることがあまりないため、1作目にあったような面白味が薄れてしまったのは残念。
各地にバラバラと散らばっているイベントを好きな順番で攻略する程度の自由度に収まってしまった。
ただ、イベント自体のバリエーションはあり、戦争ゲームのマスコンバット、会社経営のトレードといった、それだけで一本のゲームが作れるぐらいの作り込まれたミニゲームを攻略していくといったイベントもあり、とても凝っている。
隠しイベントといったなかなか見つけづらいイベントも多く用意されており、一周プレイしただけでは全容を把握できないといった作りも相変わらずだ。

バトルは従来どおりのシステムの「ファイターモード」と、主人公が指揮官になって戦闘を行う「コマンダーモード」の2種類ある。「コマンダーモード」はいわゆるオート戦闘に近いが、このモードでしか使えない技や術がある。
「コマンダーモード」は、ただのオートバトルにとどまらない作りとなっていて、なかなか面白い試みではあるが、ちょっと戦闘自体の作りが散漫になってしまった印象もある。難しい所だ。

前作では、敵シンボルがいるフィールドでダッシュ移動をすると視界を遮られるのが鬱陶しかったものだった。
そこで今作では、視界を遮るのではなく、ダッシュ時のみ、敵が影のみのシルエット表示になるという処置に変更されている。いちいち硬直する動作もなくなりイライラする事が無くなった。
ただ、ダッシュ中に戦闘に入ると「陣形が乱されてしまう」のは、シビア過ぎる気がする。後ろを取られたときに乱されるのならば納得がいくが。

グラフィックは、スクウェアだけあって流石に綺麗で、良く描き込まれており、安定したクオリティを見せる。ただ、マップの端が行き止まりなのに、それを指し示す柵などを置いていない場面が数多くあったのが気になった。
それと、全体マップの地図だけ、なぜかCG取り込みなのも、違和感バリバリで気になった所。

苦言を多く書いてしまったが、ゲームそれ自体はさすがに面白く、過去作を踏襲したシステムはより洗練され、引き締まった完成度を見せている。
これまでのサガシリーズにあった、どこか人を選ぶとっつきにくさもしっかり改善され、人を選ばず楽しめるRPGへと、変貌を遂げている。

反面、シリーズのファンからしてみれば、目新しい要素に乏しく保守的な作りとなっているため、戦闘バランスのぬるさもあいまって、物足りなさを覚えるかもしれない。実に難しい問題だ。
しかし、人気シリーズとして幅広く売っていくとしたら、今作の路線はあながち間違いとは言えず、安定して楽しめる作品となっている長所を見逃すことは出来ない。

1作目、2作目のシステムを上手に融合し、“万人受け”を狙った作品。





[2019/04/25]
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