龍が如く7 光と闇の行方


対応機種プレイステーション4
発売日2020/01/16
価格8390円
発売元セガ

(c)2020 SEGA
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セガが送る任侠ファンタジー、「龍が如く」の待望のナンバリング7作目。
今作では、主人公が従来の桐生一馬から春日一番に変わり、ジャンルがアクションアドベンチャーだったものをなんとRPGへと刷新させた。
その冒険は果たしてどうだったのか!?

まず、心配の声が多く上がったであろう、RPGへのジャンル変更についてだが、結論から先に書いてしまうと、概ね成功している印象。

パラメーターのベースはドラクエをもとにしていることもあって、迷うことがない。
ゲームシステムの基礎はシンプルでありながら、奥深さを追求していて、懐の広さを感じる。

これが、最初に感じたRPGパートの感想で、RPGとしてもしっかり作り込まれておりなかなか高いレベルに位置している。

特に好印象を持ったのが戦闘シーンで、うまく「龍が如く」のアクションバトルをRPGの戦闘に落とし込んでいるという感じで、かなり面白い。
システムとしては、素早さ(瞬発力)の高い順からターンが回ってくるセミリアルタイム制を採用していて、敵味方の位置取りを考えながら判断をしていくところはゲームアーツ「グランディア」の戦闘システムに非常に近い印象を持った。

他にも、敵に攻撃してダウン状態の相手が立ち上がる前に素早くコマンド入力して更に通常攻撃を加えると、より強力な追撃といった攻撃に変化する。
特定の技を出すとき、もしくは、敵の攻撃を受ける瞬間にタイミングよくボタンを押すとジャストガードになりダメージが軽減されるなど、アクション要素も適度に持たせていて、飽きさせない工夫が随所に見られる。
ちなみに、それ以外でこれまで頻繁に挿入されていたQTEイベントは、本作はRPGということもあり、例外を除けば発生することがなく、ゲーム中はムービーに集中できるように配慮されている。

戦闘シーンも基本的には小気味よくテンポが良いので、気持ちよく楽しむことが出来、退屈する瞬間が少なかった。
ただし、ゲーム後半になると、固くて耐久力の高い敵が出現するようになり、そのへんで若干テンポを削いでしまっている部分が無きにしもあらず。

ゲームバランスも悪くなく、ゲーム中盤辺りまでは、レベルや装備品をしっかり整えているかどうかによって難易度が変わるが、ゲーム終盤あたりになると、力押しでは攻略できない考えさせるバトルになってきて、緊張感と歯ごたえを持ったバトルが楽しめる。

転職のシステムもあるが、ジョブランク(ジョブレベルみたいなもの)によってステータスが変動するので、気軽に転職しづらいのがちょっと気になったところだ。
もうちょっとジョブランクは上がりやすくして、いろんなジョブにチェンジするという作りにすれば、転職のシステムが映えたように思う。

細かいところではあるが、スジモン図鑑(モンスター図鑑)や、街を歩いていると発生するテイルズオブシリーズのスキットチャットのような要素もあり、RPGのツボをしっかり抑えている点もポイント高い。

「龍が如く」の舞台は基本的には神室町だったが、今作は横浜の伊勢佐木町の異人街という場所をメインに進行する。
完全新規のマップなのだが、かなり広く、神室町の3倍以上の広さを持つ、巨大なエリアとなっている。
となると移動が大変になってくるのだが、今作ではタクシーがマップの色んな場所に配置されていて、タクシーを使った移動が快適になっている。
また、スマートフォンでどこでも好きなときに呼ぶことができるので、タクシーの利便性がグッと高まった。
ちなみに、他のマップ(蒼天堀、神室町)では、タクシーの場所は従来どおりマップの端で、過去作を遊んだプレイヤーを戸惑わせないためもあるのだろうが、利便性が微妙なのは変わらない。
今作の伊勢佐木町はマップが広すぎるという声もあるかと思うが、個人的にはタクシーが欲しくなる絶妙の大きさであると感じた。
ただ、巨大マップを構築するのが大変だったのだろう、看板の使い回しが、それも不自然に露骨に目立って見えたのは、ちょっと残念。

「龍が如く」のもう一つの見どころとも言える、ミニゲームは、長らくなかったパチスロの実機シミュレーターも復活して、まさに盤石の体制で作り上げられたといった印象だ。
おなじみのキャバクラあり、麻雀、将棋、ゴルフ、バッティングセンター、カラオケ、博打系etcetc...。そのほか規模の大きな目玉として、会社経営、マリオカートならぬドラゴンカート、空き缶拾いレースなどが収録されている。
相変わらず、この辺も豪華絢爛といった作りになっていて、本編が行き詰まったときなどに、気分転換できるのが良い。
贅沢を言うと、ゲームセンターのゲームは新しいものを1本でも良いから用意して欲しかったかも。

ミニゲームの他にサブイベント系は相変わらず充実しており、サブストーリーに加えてバイトクエストという小規模なクエストをたくさん攻略していくという要素もある。
また、バイトクエストの中には過去作で言う達成目録的な要素も内包している。
このように、本編の他に、大小様々な遊びが散りばめられているので、このへんは龍が如く十八番と言ってもいいのかもしれないが、プレイしていて間延びしたり飽きたりしないような工夫がなされている。

ただ、一つ残念に感じたのは、レベル上げや素材集め用に用意された地下ダンジョンなのだが、一度入るとクリアするまで出られなきゃセーブも出来ない割に、一度終えるのにそれなりの時間を要求されるというもの。
このゲーム、基本的にはどこでも好きなときにセーブできるものの、ダンジョンに入ってしまうとセーブポイント以外でセーブができなくなる。
地下ダンジョン以外でも、本編でもダンジョンに相当するものが存在するのだが、こちらもやはり一度入ってしまうとクリアまで出られない上に、ハマり対策としてセーブポイントもない。
本編のダンジョンの場合は大体最後にボス戦が控えているのに、ザコ敵との連戦とダンジョン探索の末に途中でセーブできないというのはなんとも不親切だし困りもの。
ボス前に親切に回復ポイントやアイテムボックスが用意されていることがほとんどだが、プレイヤーはセーブポイントも欲しいんですよ!!
物語の進行上、不自然になってしまうからということなのだろうが、一度ダンジョンに入ってしまうと外に出られないというのは、やはりRPG的には違和感ある。
これまでの「龍が如く」がそうだったから、ということで、このような仕様となっているのだろうが、なんとかして欲しかった。

メニュー周りのインターフェイスは基本的にはよく出来ているが、アイテム関連は微妙に不親切で、使い勝手が悪い。RPGとなったことでアイテムの種類が莫大に増え、それに伴ってカテゴリの種類も大幅に増えたため、把握しきれなくなっている。
ひと目見てどういうアイテムなのかということも判別しづらく、慣れるまではかなり戸惑う。
アイテムボックスがあり、アイテムの出し入れができるが、1種類10個だったり5個だったり所持制限のある回復アイテムをアイテムボックスへ余分に持っておけるぐらいで、普通に遊んでいる分には手持ちのアイテムがいっぱいで持てないといった状況に陥ることはなかった。
なのでそもそも、アイテムボックスが必要なのか?と感じてしまうほどだった。
アイテムボックスのおいてある場所が少ないので、逆に頻繁にアイテムボックスを必要とする作りであったなら、かなりイライラするゲームになったかもしれない。

ストーリーは、任侠ものというよりかは、人情ものに近くなり、物語の力点や色合いがはっきりと変わっているのが見て取れる。
俳優の使い方も上手で、本職の声優さんともしっかり溶け込んでいて、違和感がない。
シリーズの人気キャラクターが登場するが、これに関してはファンサービスの側面が強くて、素直には喜べなかった。でも、正直なところ嬉しかったし面白かったのは確か。あまり物語に絡んでこなかったのも良かった。
しかし、ナンバリング作品でありながら、どことなくスピンオフ的な空気がこれによって強く出てしまったような感じもしてしまった面も感じられた。

物語は相変わらず二転三転が多くて、やきもきさせられるが、男気あふれる一本筋の通ったシナリオが構築されていて、熱い作りで良かったのではないかと思う。
任侠ものの映画を見ているというよりかは、どちらかと言うと少年マンガ誌を見ているような感覚に近くなっているのは、従来のテイストからの変化があり好き嫌いが分かれるか。

前作の「龍が如く6」で、桐生一馬の物語が終わったことで、新たな主人公を打ち立て、ゲーム的にも大幅なリニューアルを行った今作。
7作(外伝も含めるとそれ以上)も続く作品のマンネリを打破しようと、様々な部分で新しい試みが行われており、不安も多い作品かと思うが、概ね良い方向に作用していて、安心して楽しめる内容になっていることかと思う。
次回作もRPGで行くのかは謎な部分ではあるが、本作によって可能性が大きく広がったのは確かと言えるかも知れない。

RPGになっても龍が如くは龍が如くだった、良作。





[2020/01/30]
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