新サクラ大戦


対応機種プレイステーション4
発売日2019/12/12
価格8800円
発売元セガ

(c)2019 SEGA
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「太正桜に浪漫の嵐」でおなじみ、セガハードで一時期看板タイトルにまで上り詰めたアドベンチャーゲーム「サクラ大戦」。新となってPS4で華麗に復活!!
原案に広井王子氏、音楽を田中公平氏。メカデザインを明貴美加氏。といった、おなじみのメンツを揃え、メインキャラクターデザインは、なんと「BLEACH」の久保帯人氏。
シナリオ構成にイシイジロウ氏といった新しい風を取り入れる。あいも変わらず、豪華絢爛な開発体制で送る、新しいサクラ大戦は、果たしてどのような完成度となったか!?

ゲームの基本システムは、かつて、5まで発売されてきた「サクラ大戦」と同様のもので、アドベンチャーモード+章後半ではバトルモード+TVアニメを意識した次回予告という流れ。
特徴的なものとして、選択肢を決められた時間内に入力しなければならないLIPSというものを採用している点で、この選択肢によって登場ヒロインたちの評価が変わっていく。

これまでのシリーズと大きく変わった点として、ヒロインたちがトゥーンレンダの3DCGで表現され、それに伴って、フィールドも3D空間となり、プレイヤーはその空間を自由に歩き回ることができるようになった。

キャラクターの3D化に関しては、概ね成功と言える範囲だと思う。
表情豊かでフェイシャルモーションの出来は良いし、モーションも良く出来ていて、可愛さをしっかり表現できている。
セガはPS3期から、「戦場のヴァルキュリア」や「初音ミク」などで、アニメ調の作品へも十分に力も注いでいたから、その技術のノウハウがここで実った形だ。

ただ、残念と言えたのは、テキスト量が多いせいなのか、フルボイス仕様とは行かなかったようで、サブイベントのシーンではテキストのみの表示となってしまうのだが、やはりボイスなしの3DCGの身振り手振りだけになると
一気に雰囲気が崩れてしまう点は返す返すも残念。
とはいえ、大半のシーンはボイスで喋るようになっており、重要なシーンはほぼ全てボイス付きであるから、それほどマイナスポイントとはならなかった。

また、これだけ3DCGの出来が良いのに、見せ場ではセルアニメムービーに頼ってしまっている点は惜しかった。3DCGじゃ出来ないからってことなんだろうけど、このクオリティなら頑張って3DCGで全編通しても良かったのでは?

戦闘シーンは、これまで戦略シミュレーションを取り入れたものとなっていたが、今作では無双風の痛快3Dアクションになり、大胆なチャレンジを行っている。
3Dアクションとしての出来は、ロックオン機能がないことで空中の敵に攻撃が当てづらいなど、ちょっとイマイチなところも目立つのだが、低い難易度と大味な作りを考えれば、ひとまずこのようなものかと言うレベルだという感じ。
「いくさちゃん」というもので、クリア済みの戦闘シーンをいつでも遊ぶことが出来ることで好きなだけバトルの練習ができる。これは良い作りで、他にも戦闘評価(最高評価にするとブロマイドがもらえる)といったやりこみ要素を用意することで、ゲームとしての深みを出そうとしているのだが、これでもぬるい調整で、一発目で最高評価を簡単に取れてしまったり、ちょっと調整不足を疑う。
操作性をもっと洗練したり、核となる部分を作り込んだ上でのぬるい難易度であれば、やり込む意義も出てくるものだと思うが、ちょっとここのあたりのアクションの作り込みの甘さが実にセガらしくなく、粗い完成度にもったいなさを覚えた。
グラフィックやエフェクトは文句なく綺麗なだけに、敵の種類などをもっと増やして、一本のアクションとしても遊べるレベルのものを構築して欲しかった。

ストーリーは中々小気味よく、相変わらずの「サクラ大戦」なノリ。太正29年という架空の世界で、ハイカラな雰囲気を引きずったまま、でも一方で、スマァトロン(スマホ)みたいな機械が発達していたりするなんだかなんでもありの美味しい世界を上手に使っている。
メインヒロインだけでなく、サブキャラクタもせっかく3Dモデリングしたんだからということで、キャラをしっかり掘り下げて登場させており、どのキャラも中々の存在感がある。
シナリオは周回プレイを意識したためか、だらーっと長い作りではなく、短すぎず長すぎずという絶妙の構成。

全体的に、外さないように外さないようにと慎重に作り上げていった風で、その上でサクラ大戦を今風に大胆にアレンジしている部分もあり、手堅く頑張った作品だと感じた。
ただ残念なことに、シナリオを中心に、旧作ファンをややないがしろにしている部分を見受けられたことや、突拍子もないストーリー展開が目立つことなどがあり、サクラ大戦って前からシナリオの出来はそんなノリではあったものの、もう少しこの辺に丁寧さが欲しかったようにも思えて、残念。
前作までのキャラクタや設定は下手に借りてこないほうが、もっと引き締まったゲームになったことだろうと思う。それこそ、過去作のキャラはブロマイド程度の出演に抑えておけばよかった気が?

これは確かに、新しいサクラ大戦だ。至らぬ点も多く見られるが良作。





[2019/12/24]
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