スラップスティック


対応機種スーパーファミコン
発売日1994/07/08
価格9600円
発売元エニックス

(c)1994 ENIX / Quintet / ANCIENT
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クインテットとエニックスといえば、アクションRPGが鉄板であったが、今回はロールプレイングゲームに挑む!!
発明家の卵である主人公の少年は、自らが開発したロボットを使って戦闘に挑む!!
メカのカスタマイズが肝となるバトルと、子供向けのコミカルな世界観とはいえ、クインテットらしい外さないストーリーが魅力の作品は、ゲーム的にはどの辺りに着地したのか。
今回、古代祐三氏が設立した「エインシェント」という会社が楽曲を提供しており、クインテット色満載で挑む冒険活劇!!

ゲームとしては、ストーリー主導型のロールプレイングに分類される作りで、ダンジョン攻略時のフラグ立てなんかのノリは、はっきりいってまんま「イース」と思い出す。
ゲームとしてのストーリーはよくできており、テキストのクオリティも概ね高い。ゲーム展開は小気味よく進み、ダレるところがあまりないのも好印象。

ただ、本作は、どうもクインテットの二軍チームが開発にあたっているようで、些細なことではあるが、プログラム周りはもう一つ。悪くないんだけど良くもないといった感じで、B級の雰囲気なのが惜しかったところ。
(あまりゲームの出来不出来に関係ない部分ではあるが)

特にメニュー画面のインターフェイスに関しては、アイコンを基調としたものとなっているのだが、これがどうにも見づらくて使いづらい。
あと、セーブ機能を備えているトランシーバーは、わざわざ主人公に装備させないと使えないんじゃなくて、空いているセレクトボタンとかスタートボタンで常時使えるようにしておくべきだった。

購買層のメインターゲットを低年齢層に向けたらしく、全体的にほのぼのとしたグラフィック、ポップでコミカルな空気感、加えて、ゲームシステムも単純化されており、この辺には好き嫌いが大いに分かれそうである。
このことを逆に捉えれば、いわゆる巷にあふれる凡百の王道ロールプレイングゲームとは異なる空気を放っていて、個性的なゲームに仕上がってることと思う。

ただ、このゲーム...。難点を挙げるならば、バトルやメカのカスタマイズが面白くない...とまでは言わないが、それぞれの踏み込みが浅いというのは、この手のゲームでは致命的ではなかろうか。

例えば、メカのカスタマイズに関して述べると、攻撃力や防御力のパラメータ振り分けが99までしか振り分けられない。これは特化させればゲーム中盤辺りには到達してしまう値である。
これのおかげで、ものすごく尖ったメカを作ることができない。攻撃力に特化したメカとか、装甲がとてつもなく分厚くて攻撃を無力化するメカといったものが作れないのである。
ゲーム後半は、装備品でメカを強化していく格好になっているのだが、これにも問題がある。

装備品であるパーツの種類が、まず少ないし、アイテム合成をして強力なものを作り出そうにも、合成の法則性が分かりづらく、ゲーム上でヒントも全然ないので、作り出すことが実質的に困難になってしまっているのである。
多くのプレイヤーは、宝箱に入っていたり、敵が落とした、性能の良いパーツを使ってエンディングまで到達したことと思うのだが、どうだろうか。
この辺り、攻略本を買えと言っているのだろうか。

メカは3体まで所有できて、そのうち戦闘に同時に出せるのは1体だけなのだが、こういった事情があるために個性分けが難しいので、せっかく3体のメカがいても、似たり寄ったりの性能になってしまうのは非常に勿体無い。
あと、こちらは1体ずつしか戦闘に出せないのに、序盤からザコ敵は3体とか出てきたりする。ゲーム後半に登場する敵全体を攻撃する武器を序盤から出すなどして、理不尽さを払拭することも必要だったのではないだろうか。

また、戦闘のバランスももうちょっと良くなくて、ザコに関して言えば、楽に倒せる敵と、異様に強い敵との差が激しい。
特に、ボス戦が顕著で、ボス戦は全般的に強くて、勢い力押しの戦術に頼りがち。この辺、もうちょっと工夫のし甲斐があれば、だいぶ印象が変わったように思うのだが。なんとかできなかったのだろうか。

苦言もだいぶ述べてしまったが、全体的なゲームとしての出来は、雰囲気も良いし、しっかり出来ているべきところは出来ていて、なかなか出色の出来と言ったところである。
この辺は、「さすがクインテット」と拍手を送りたい所だ。

しかし、今ひとつ売れずマイナーな存在にとどまってしまっているのは、ゲームシステムのイマイチさにも原因があったのではないだろうか。
「クインテット」という会社は、どーも、ストーリー周りは良い仕事をするのだが、ゲームシステム周りが不安定で、コレ!!というものを作り出すことに苦心している印象がある。

そこで結論

メカのカスタマイズという題材を、うまく子供向けにアレンジできなかった。だが、シナリオその他は決して悪くない。





[2018/08/01]
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