スターオーシャン Till the End of Time


対応機種プレイステーション2(HDD対応)
発売日2003/02/27
価格7800円
発売元エニックス

(c)2003 ENIX / tri-Ace
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トライエースの看板作品「スターオーシャン」のシリーズ3作目が、プレイステーション2にて堂々登場!!
ウリであるフルリアルタイムのアクションバトル、豊富なアイテムクリエイション、王道RPGながらも挑戦的な要素がたくさん導入された意欲作だ!
3作目になり、ハードも変わって、様々な部分が大幅にグレードアップ!!見どころも多いRPGとなっている。
主題歌にMISIA「飛び方を忘れた小さな鳥」を起用。...しているのだが、あまり効果的な使い方をしてないし、話題にもなっていないし、なくても良かったかも。

グラフィックは、PS2になっていよいよキャラクタもフィールドもフルポリゴン化を実現した。キャラクターの顔モデルはやや不格好なのが気になるが、表情など自然で豊かだし、全体としてはよく出来ている。
フィールドのビジュアルも、色鮮やかでクオリティが高い。
フィールドマップの形式は、ゲームアーツ「グランディア」などと同様の、プレイヤーを中心にカメラを回転させるタイプ。
ただ、このゲーム、凄く迷う。
理由としては、カメラが近いことと、目印になるようなオブジェクトが少ないこと、エリア切り替えが多く似たようなマップが多いこと(特にダンジョンでは)が挙げられる。あと、マップ自体も広くて複雑気味。
個人的にはこの仕様のせいで、探索が凄く苦痛で、かなり辛かった。宝箱がそこら中にたくさん置いてあるということは、開発者も(探索が大変だということに)気づいていたのかもしれない。
敵との戦闘はシンボルエンカウント形式になり、好きな敵と好きな時に戦えるようになった。

それから、ダンジョンにはギミックが用意されていることが多いのだが、突拍子もない仕掛けが多くて、ヒントも少なくぞんざいな作りであることが多く、何度か投げ出しそうになってしまった。
もっとヒントを増やすとかして、導入部を親切にしてほしかった。

戦闘システムは大きく進化した。前作までのボタン連打を強いられるような作りではなくなり、アクションバトルとしてもきっちり作り込んできている。そのため、RPGの戦闘シーンとしては敷居が高まった印象がある。
まず、攻撃にはガッツというパラメータを消費する必要があるという点。ガッツはパーセント表示で、これが足りないと攻撃が出来ない。何もせず待機していると回復していくので、その都度攻撃の手を休めなければならない。
攻撃の種類が2つあり、大攻撃と小攻撃があって状況に応じて使い分ける必要がある。大攻撃はスキが大きいが、威力が高く敵のプロテクトを破れる、小攻撃はスキは小さいが、威力が低く敵のプロテクトに弾かれるという特徴がある。

プロテクトというのは、その場に待機していてガッツが100%の状態の時に発動するもので、いわゆる防御行動である。防御行動といってもなにかボタンを押している必要はない、その場に待機していると自動的に発動する。
この3すくみの仕組みを上手く利用して戦闘を立ち回っていくのだが、面白いのではあるがRPGの戦闘シーンとしては本格的過ぎるきらいがある。
3すくみがあるのなら、ガッツはなくても良かっただろう。逆に、ガッツがあるのなら、3すくみはなくても良かったかも知れない。ちょっとシステムが過剰気味な印象を受けた。

通常攻撃は2回まで繋がり、その後装備しているバトルスキルに連携することができる。このとき、タイミングよくボタンを押さないとバトルスキルに連携できないのだが、実際はかなりタイミングが甘くて暴発してしまうぐらいタイミングがゆるいのが気になった所だ。
通常攻撃を2回出したいのに、通常攻撃1回でバトルスキルを出してしまったということが数え切れないほどあったぐらい。
このように、攻撃ボタンひとつとってみても、連打してればいいのではなく、タイミングよくボタンを押す必要がある(そんなに厳しいわけではないが)。

攻撃時に勝手にカメラがサイドビュー視点に移動したり、よく軸ズレを起こして攻撃を空振りするのには、参った。
あと、一般のRPGとことなるルールとして、MPが0になっても戦闘不能扱いになってしまうのだが、これもどうにも納得が行かなかった。

キャラごとに戦闘面での性能差が歴然としており、キャラを切り替えて戦ってみると、色々変化があって面白い。
それに加えて、バトルスキルによるカスタマイズで、自分好みのキャラを作ることができる。
戦闘システム自体は敷居が高まった感はあるものの、完成度は高く、それ自体はまだまだ洗練するべき余地が残っているものの、なかなかに面白い。

ただ、ゲームバランスは、あまり良く無い。いきなり敵が強くなったり、そもそもザコ敵から強めで、ボスより強いザコが当たり前のようにいたりする。
経験値やお金の与え方もあまり褒められたと言えない部類。手厳しいことを書いてしまったが、遊べないほどではない。ゲームバランスが悪いというよりかは破天荒といったほうがいいかも知れない。
全体的にザコ敵はもっと弱めにすると、ちょうどよかったと思う。

ストーリーについて。
このシリーズはこれまで、基本は一本道だが、マルチストーリー制を採用していた。一度のプレイではすべてのストーリーが見られず、シナリオが分岐するといった作りだ。
ところが今作では、ストーリーの基本ラインを一本化したことで、引き締まった完成度を見せている。完全に一本化したのは、ひとまずは(プレイヤー側としても開発者側としても)成功と言えるだろう。

イベントシーンは基本的にフルボイスで喋ってくれるのだが、全体的にイベントシーンが冗長で一度イベントが始まってしまうと10分とか20分近く見ているだけという状況になりがち。
もうちょっとイベント自体をまとめるとか、小分けにして見せるとかしないと、退屈になってしまう。かといって見ごたえがあるかと言うと、キャラのモーションなど頑張っているのではあるが、ちょっと厳しいと言った位置。
ナムコ「ゼノサーガ エピソード1」ほど力入れろとは言わないが(アレは逆に力を入れ過ぎ)、ボイス無しの重要イベントシーンも多くて、もう少しなんとか出来なかったかなーと言う印象。

それから、強制イベントが多くて、移動が制限されてしまう事が多いのも困りもの。

アイテムクリエイションは、システムが大幅にリニューアルされている。各地にいる職人が勝手に新製品を発明する。それら職人を探し出して契約を結び、味方に引き入れたり、勿論自分たちでアイテムを作ることもできる。新製品のアイテムは各地のショップで売り出される。
面白いか?というと、面倒くさかったり事前情報が不足していて分かりづらい、難しいといった印象が強い。
アイテムを自発的に作り出すというよりかは、お金を払って作らされているという側面が強い。というのも、ゲーム本編に出てくるアイテムが必要最低限で、非常に少ないためだ。
幸い、ゲームクリアだけなら、活用しなくても良いといったバランスに抑えられてはいる。

ディスクアクセスは、かなり軽快で、前作同様ほとんど読み込んでいると感じさせないほどの優秀さを見せる。しかし、バグやフリーズが非常に発生しやすいようだ。
自分は、HDDインストール機能を使ってプレイしたのだが、目立ったバグもなく、フリーズは一度だけで、ほかは正常に動作しており、不具合は何も起こらなかった。
どうやら、早いディスクアクセスになにか問題があるようで、HDDにインストールするプレイスタイルであれば、本作は特に問題なく遊べそうだ。
また、当然ながらHDDインストール機能を使うと、快適にプレイできるのは言うまでもない。

全体的に作りに粗が目立ち、特にレールの上に乗っかったようなプレイ感覚が強い。このゲーム、一度発売延期を行っているのだが、それでもなお、開発期間が足りなかったのではないだろうか?
その割には、ゲームのボリュームは結構なものだし、ミニゲームが多数収録されたり、アイエムクリエイションなど凝ったシステムが多い。このシリーズ自体、たたみきれない風呂敷を広げすぎる傾向にある。
要するに詰め込み過ぎなのだ。ゲーム全体をシェイプアップして、質を高める方向も考えたほうが良かったかもしれない。

スクウェアと合併が決まっちゃったんで、これ以上発売日も伸ばせず、強引に発売させちゃった感があるのだけど、真相はどうなのだろうか?

各パートはよく出来ているが粗も多い。磨けばもっと良くなっただろう作品。





[2019/02/24]
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