天使の詩 白き翼の祈り


対応機種スーパーファミコン
発売日1994/07/29
価格9980円
発売元日本テレネット

(c)1994 TELENET JAPAN
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PCエンジンで発売され好評だったRPG「天使の詩」スーパーファミコン版。

ゲームとしては、特筆するところのない平々凡々としたものだ。好評だったストーリーも、今回はキレがない。
前作までのエピソードとの関連を匂わせる程度の絡め方なんかをやってはいるものの、シリーズとしては無難に仕上げたという感じで特に魅力的ではない。
イラストレーターも、冨士宏、結城信輝と起用してきたが、今回は特に名の知れた人を使っていないようだ。その一点で言えば、グレードダウンしたと言える。

ところが、ゲームの面白さに直結する話ではないが、プログラムのレベルが比較的高い。特に処理がかなり軽い。

メニューウィンドウに若干こなれていない部分はあるものの、歩行速度は早い上に斜めに動かせるしで、ストレスを感じることなく快適にプレイできる気持ちよさが心がけられている。
(斜め移動は途中から入れたのか、イベントでのキャラ移動では一切使ってないが)

また、サウンドのプログラムも良く出来ていて、音色が凄くいい。CD-ROMのトラック再生に引けをとらないクオリティを叩き出している。

グラフィックは、シリーズの味を壊さず「天使の詩」的な感じだが、ダンジョンのマップが良く出来ている。マップパターンが、これまたCD-ROM並にバリエーションがあり、SFCではなかなか見ないタイプの人海戦術的マップだ。
ただ、処理速度を優先したのか、BGを複数枚置いたり多重スクロールをやりたくなるようなマップでも、敢えてその機能を使わずBG1枚で表現している。
それ以外でも、SFC特有の機能、モザイク処理、回転拡大縮小機能なんかも全く使っていない。戦闘シーンの背景も、昼夜がきちんと反映され、絵面もゴージャスで豪華。

戦闘は、素早さの高い順から行動するセミリアルタイム制にしていたり、敵と「交渉」するという要素が付けられていて、面白くする工夫を取り入れている。が、正直解決には至っていない。
このシリーズは、PCエンジン時代でも、戦闘はオーソドックス過ぎて作業的であまり面白くなかった。
やはり今回も、そのシリーズの伝統を受け継いでいる感じで、戦闘自体は正直つまらない。

特に使うと魔法の効果を持った装備品がやたらに強く、ターン制ではない、セミリアルタイムなので、1グループにダメージを与える魔法の効果を秘めた装備品を1つ手に入れれば、それをパーティ全員で使いまわせてしまう。
中盤からドカドカとそのような装備が手に入ってしまうので、わざわざMPを消費して攻撃魔法を唱えるのがバカバカしくなるし、実際使う機会はほぼない。
逆に、魔法を封印したり眠らせたりする補助魔法の類が、「本当に効くのか?」と疑ってしまうほど使えない。取れる行動が少ないので、余計作業的になる。

一方、「交渉」のシステムは凝っていて、使う度に交渉経験値が入って交渉レベルが上がる、レベルが上がると交渉用コマンドが増えていく、敵ごとに色んなリアクションの台詞が用意されていて、ただおまけみたいに入れただけではなく、なかなか頑張っている。
CRPGにTRPGの要素を入れたかったのだとは思うが、戦闘を避けるという意味では逃げたほうが手段としては早い。必然性を出すためには「交渉」する意味を持たせなければならないと思う(例えばレアアイテムがもらえるとか、隠しイベントが発生するとか)。
また、戦闘の中で失敗を繰り返すのみでしか、交渉レベルを上げられないのではなく、町の中にそういうギルドがあって極意を学べたりみたいな筋道を作らないと、せっかくパラメータを設定していても機能しない。しにくい。

イベントの演出は淡白だが、PCエンジン出身のタイトルということもあり、見せ場ではビジュアルシーンが流れる。さすがにボイスまでは付けられないし、あまり派手には動かないが、その努力は評価したい。

プログラムの作りとか、どうもウルフチーム臭いと思っていたが、やはりウルフチームのスタッフが関わって作られているようだ。ただ乗り気じゃなかったのか全体的にやっつけ仕事臭い感じはする(あるいは開発後半にケツ持ち的に加入したか)。そこで結論。

ゲームとしての見所は薄いが、プログラムレベルは高い(後に、SFCで主題歌がボーカル付きで入り、完全リアルタイムのアクションバトルのRPG「テイルズオブファンタジア」を作るだけはある)





[2016/02/28]
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