天地創造


対応機種スーパーファミコン
発売日1995/10/20
価格11800円
発売元エニックス

(c)1995 ENIX / QUINTET / KAMUI FUJIWARA
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「ソウルブレイダー」「ガイア幻想紀」等でお馴染みのエニックスとクインテットによる、見下ろし型のアクションロールプレイングゲーム。
今回は、「ロトの紋章」の藤原カムイをイラストレーターに迎え、かなりの話題作となった。

クインテットのアクションRPGは、アクションとしては低難易度で遊びやすい親切設計な作りが特徴的だったが、一方で物足りなさもあった。
今作ではその辺りの問題点もしっかり補強してきていて、かなり遊べる作品になっている。

ゲームシステムは、ロールプレイングにアクション要素を足したような形。
本来のRPGは、戦闘は画面が切り替わってコマンド入力でキャラに命令を出して動かしていた。今作では、そこをプレイヤーが直接動かして戦う。

アクションRPGだから、当然そのようなゲームであるのだが、このゲームで凄いのは、普通のRPGのような躍動感がありダイナミックなフィールドをアクションゲームと同じように動かせること。
それから、敵キャラクターなども、パターンが豊富なだけでなく凝った動きをするものばかりで、ちょっと前に出たスクウェア「クロノトリガー」並みのクオリティの画面で、アクションRPGが遊べる!

まあ、多少アクションゲームという観点で見ると、敵の動き方やボスなどが洗練されてない感じはするのだが、このプレイ感覚はかなり凄い。

回りくどい説明になってしまったが、もっと端的にいうと、「ドラゴンクエスト」、もっと言うと「クロノトリガー」をそのままアクションRPGにしてしまったものと、ほぼ思って良い。

経験値があり、敵を倒すとレベルアップしてキャラが強くなる。毒や呪いなどの状態異常があり、敵はRPGのように魔法を唱えてきたり、仲間を呼んだりする。ダメージは数値で表され、時にはクリティカルヒットも出る。
何もそこまで律儀にRPGのシステムを踏襲しなくてもいいだろうというぐらい、アクションRPGにRPGの要素を組み合わせている。

マップのグラフィックやデモシーン、エフェクト演出のクオリティが非常に高い。
とにかく色遣い、演出が細かい部分まで凄くて、SFCのゲームとしては間違いなくトップクラス。そして、同時にドット絵でもここまでやれるんだ!という驚きを与える。
たまに流れるデモ演出シーンは、間違いなく、PSやSSのムービーシーンを意識して、対抗して作られたものだろう。
マップのバリエーションも多彩で、それでいて、ゲームとしてのボリュームもきちんと両立している。素晴らしいと言う他無い。

その代わり、マップの決まり事(どこが歩けてどこが歩けないか等)が一見しただけでは非常にわかりにくくなってしまっており、新しいマップに入る度に混乱してしまうのは残念。

プレイヤーキャラクターのアクション数やアニメパターンも実に豊富で、良く出来ている。

さすが、ハード末期に発売されるゲームだけあって、ゲーム機の性能を限界まで引き出した作りとなっており、非常にクオリティが高い。

このように、技術的には素晴らしい仕上がりなのだが、ゲームとしてみると、それに見劣りしてしまっている点が多々あったのが惜しい。

まず、ストーリーがどうも、舌っ足らずというか、基本的には面白くは出来上がっているのだけども、うまく書けないが、なんだか描写不足なせいかどことなくバラバラで、連続性に乏しい感じがした。
そのせいもあってか、しばしば次に何をやったらいいのかがわからなくなって迷うことがある。
サブイベントも充実していて、退屈にならないようにはなっているのだけども、どうにも訳がわからなくなってただたださまよっていることが多かったように思う。

アクションRPGだが、RPGのシステムをかなりの部分で採用していて、中でも状態異常が鬱陶しい。毒はまだ良くて、一定時間操作を受け付けなかったり、死の宣告なんてものもある。
そのたびにメニューを開いて、回復アイテムを使って治療したりするのだが、アクションゲームとして考えると、たただた面倒。敵を倒しても回復アイテムが一切でないのも辛い。

レベル制で、経験値を稼ぐことで強くなっていくが、レベルが低いせいでボスにダメージが全然与えられず倒せないという状況に陥ることがある。
割とすぐにレベルアップするし苦痛に感じるところではないのだが、レベルが原因で勝てない(極端に苦労する)というのは、やはりアクションゲームとして考えるとどうなのか?という気分になる。

レベルさえ上げればしっかり強くなって、きちんと勝てるようになるというのは、「イース」でもこのようなバランスだったが、なまじアクションとしての自由度が高いために、勝てるか勝てないかという線引きがわかりにくい。
(「イース」の場合、どうあがいてもレベル上げてこないと無理なようなボス戦のバランスになっている)
アクションの腕前でもって突破してやろうと思っても、レベルが原因で勝てないようになっていると、悔しい。

レベルを上げれば強くなってアクションが苦手な人でもクリアできるようになるという利点がこのゲームでは、必ずしも長所とはなってないように感じた。
レベルを上げなきゃクリアが無理という風に義務化してしまうと、アクションゲームとしては一気に冷めてしまう。
(何度も書いているが、レベルが原因で勝てるか勝てないかの線引きがはっきりしていれば、不満とはならない)

最後に細かいところになるのだが、これも抽象的であまりうまく書けないのだが、プレイヤーの操作感がどうにも気持ち良くない。
例えば、町の人に話しかける時の当たり判定とか、凝ったメニュー画面のインターフェイス。いちいちカテゴリを切り替える時に画面切り替えが発生したりしてスムースに操作できないし、見づらい。
キャラパターンが豊富でアクションの数も多くて退屈しないのだが、簡単なコマンド技があり、微妙に手元が忙しい。ダッシュ斬りがやたら強いせいで、それを多用していると指が痛くなる等。

不満も多く書いてしまったが、アクションゲームとして考えるとちょっとこなれてないなと感じることぐらいで、総合的に見ると完成度はかなり高い。それだけ力強い作品だ。そこで結論。

些細な不満を吹き飛ばす、職人的作り込みが光る作品。





[2016/03/22]
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