チームイノセント


対応機種PC-FX
発売日1994/12/23
価格9800円
発売元ハドソン

(c)1994 HUDSON SOFT
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プリレンダCGの一枚絵+スプライトの疑似3Dフィールドを探索し、無人のスペースシップで起きた怪事件を解決していくアドベンチャーゲーム。

いわゆる「バイオハザード」タイプのアドベンチャーだが、本作はバイオハザードより先に開発された。手法が確立していないため、手探り状態で制作されたのが目に見えてわかるのだが、その割に完成度は高い。この手のジャンルの中では先駆け的な位置に座するゲームと言える。

キャラクタがスプライトなので、座標移動の設定を手作業でおこなわなければならないので、移動操作にかなり違和感がある。
またそんな状態で戦闘シーンまで組み入れている(さすがに凝ったことは出来ない簡素な物だが)。頑張りは評価出来るが、どれも3Dゲーム黎明期の発展途上のレベルで、実験的な意味合いが強く、ゲームとしてはどれもまだこなれていない印象がある。

CGは綺麗で部屋のカット割りも、マニュアルの存在していない当時としては良くできている。ただ、一部で方角を見失う所がある。

題材としている設定が暗いが、PCエンジンの後継機種PC-FX向けソフトだからか、おきまりのように主要登場人物が美少女キャラクタである。服装も無駄にエロいし、不自然に乳揺れしたりする。
しかしこれが逆に、ゲーム全体の雰囲気を中和しており、良いカンフル剤になっている。

無論キャピキャピのアニメキャラにしたのはそれだけが理由ではなく、FXの特長であるアニメ動画再生機能を活用するためである。
同時発売の「バトルヒート」より流麗さには劣るが、フルサイズでビジュアルシーンも多く収録され、当時としては高画質であった。「バトルヒート」とは異なりCGも多用していた点も面白い。
CGにセル画のテクスチャーを貼り付け、コンピュータグラフィックスとアニメが融合しているかのように見せる手法も画期的だった。

全3話と短く物足りなさを感じさせるが、その分全体的な完成度は高く、何度でも遊べるよう隠しイベントを仕込むほどの余裕を見せる。
イベントポイントというシステムがあり、一度のプレイで多くのイベントを見ることでハイスコアを狙う「シューティングゲーム」のような要素を持ってくるなど、ボリューム不足を何とか解消させようと言う努力は評価出来る。

ストーリーもなかなか良い。シチュエーションが暗いが、美少女キャラ同士の明るい掛け合いによって、バランスがとれている。音楽などの演出も凝っている。
特に顔グラフィックのパターンが豊富に作られ、なめらかに動く様は、まさにPCエンジンの正統な後継機種を思わせる。端末を操作する演出なんかも非常に凝っており、制作者のこだわりが伝わってくる。
ディスクアクセスもかなり早い。CDであることを忘れるほどだ。

クライマックスにかけたシナリオの展開は、それまでとは毛色の異なる力の入った作り込みで、意外性があり面白い。
説明書には事細かに作られた設定資料が載せられ、こだわって作られたことがうかがい知ることが出来る。

同時期に発売されたプレイステーションやセガサターンと比べ、性能的に劣っているPC-FXだが、本作と「バトルヒート」は、PC-FXに未来の可能性を感じられるほど高いポテンシャルを秘めたソフトであった。

アイテムの置いてある位置がわかりにくかったり(意図的に隠している所もある)、調べる際にじれったいモーションが入り待たされること、6ボタンもあるのに、わざわざパンチ、キック、ショット、ジャンプのアクションをメニューから選択しなければならない(ボタンが余っているのだから、使用しなかったIV〜VIボタンに割り当てれば良い)、
武器を装備する概念がわかりづらく練り込み不足など、実験作ゆえの詰めの甘さも目立つが、物語的にも続編を十分出せる結末だったので、是非とも2が遊びたかった物だ。
現実は、PC-FXの大失敗により、これほどお金をかけた超大作を作ることは絶望的になってしまったが(サターン辺りで続けられなかった物か?)。実に残念だ。そこで結論。

「バトルヒート」と並び先鋭的なゲームの一つ。ハドソンの技術力は凄い。





[2010/06/08]
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