テイルズオブデスティニー2


対応機種プレイステーション2
発売日2002/11/28
価格6800円
発売元ナムコ

(c)1997 2002 NAMCO / いのまたむつみ
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人気RPGテイルズシリーズの新作が2年振りに発売。
シリーズ初のPS2で、更なる進化を遂げる。

このシリーズは、毎回世界観が変わるタイプの物だが、
今回はPSで出た2作目のテイルズオブデスティニーの続編となっている。
舞台となる世界は同じ、そして主人公のカイルは
前作での主人公スタンとヒロインのルーティとの間に生まれた子供という設定。
前作から18年後を舞台に物語は始まる。

この時点で、PS版と密に連動している印象が強いが、
実際楽しむ上で、前作の知識は全く必要ない。
やっていないことでのハンディキャップなどは全く無い。

続編とはいえ、世界観とキャラ、少々のストーリー設定を借りてきただけで
今作は今作で全く別物の展開を見せる。
そもそも前作はRPGとして何から何までひどい出来だったので、
どうまとめるのか心配になったぐらい。

はっきり言うと、好き放題なシナリオを書かれちゃっていて
前作の設定はあって無しのようなものというか、
正直、わざわざ続編にする必要すらあったのだろうか?とさえ思えてくる。
もっと関連性をぼかして、微妙に関係があるようなほのめかすぐらいの作りの方が
このプロットの内容ならば、良かったように思う。

また、テイルズといえば、コミカルで軽い感じの作風で通ってきた。
それが一つのウリでもあったのだが、この辺りが妙に生真面目になってしまったというか
全体の空気が他大多数のRPGのようなシリアス風味で全編通っていて、親しみづらい感触を持った。
「このシリーズはこうあるべき」と決めつける気は無いし、こういうのは好きずきだと思う。
ただ、これ一本を見て評価すると、決して成功しているとは言い難い。
操作するキャラクターと妙な距離感が出来てしまっているし、変に大人びているせいで
愛着もわきづらい(洒落が利かないというか真面目過ぎる)。
こういうRPGは他にもあるし、むしろ他で見飽きるぐらいなので、従来のような
バカ単純なノリの方が引き立つ気がする。

この辺り、PS2という市場の購買層を意識しすぎて失敗した感がある。

グラフィック周りは、PS2になったもののフィールドがフルポリゴンで
それ以外、町やダンジョン、戦闘はドットという体裁に大きな変化はない。
そのため、パッと見た感じ驚きが無く、見た目のインパクトに乏しいのが痛い。
勿論、ドット絵の精度がグッと上がっていてかなり綺麗に描かれていたりするのだが、
なかなかそのような部分での良さが実際やらないと分からなかったりする。
しかし、フィールドマップのポリゴンの出来が非常に悪く、
この辺り、2年前に出た「テイルズオブエターニア」のほうが綺麗なぐらいである。
主に色遣いに拘りが無く原色系ばかりで、なんとも脳天気な印象を持ってしまった。

しかし、本作は映像面よりも、快適性に重点を置いた作りのようで、
とにかくローディングが早い。早いというか待ち時間はほぼ無い。
(戦闘終了時のフィールドポリゴンの読み込みで若干強制的に待たされるぐらい)
戦闘への移行も一瞬、マップ切り替えも早く、とにかく快適。
これは非常に良い向きの作りである。
多くのゲームが、ディスクアクセスを犠牲に綺麗な映像美を見せようという作り方をするのに対し
本作はこの辺りの分をわきまえていて、満足な水準で作れないなら割り切ってドット一枚絵にするところや
ローディングの快適さを第一に考えて作ろうとしている。

ただし、ゲームそのものの出来は意地悪な作りであまり面白くはなかった。

まず、主に戦闘を基点としたシステムが非常に複雑。
どうも、ボタンを連打して多段ヒットの強烈な必殺技を出しまくり、ごりごり先に進めちゃうのが
よっぽど嫌だったのか、この辺りのシステムを考えさせるようにがっつり組まれちゃって
RPGならではの良い意味でのいい加減さが失われて、きっちり管理された作りになってしまった。

例えば、TPが100固定で強い技でのごり押し戦術が通用しないのと、攻撃をする度に
スピリットゲージを消費して無くなると攻撃が相手にきかなくなるといった風。
何もしてないとスピリットゲージは回復するので
攻撃ばかりでなく、たまには後ろに下がって詠唱に時間のかかる魔法を使いなさいよ
という意味だと思うのだが、前線で特技を駆使して戦っていると
今度は魔法を詠唱するTPが不足する。この歯がゆさ。
敵に攻撃を当てるとTPが回復するので、魔法ばかりというわけにもいかない。
ザコ戦ですら、TPの残りを気にしなくてはならない。非常に気を使うこの戦闘システムには参った。

だからつまらないというわけではないが、そのせいか全体的に難易度がきつめな印象で
ザコ戦が気持ちよくない。

エターニアでは、敵をすり抜けて後ろに回り込めたのだが、
今回はすり抜けることは出来ないし、敵の中に割って入ると不利になるように作ってある(スピリットゲージが半分になる)。
ようは、敵と戦闘フィールドの陣取り合戦をするような格好で、押し合いへし合いという感じが
やっていて非常に疲れる。
敵の耐久力も妙に高く、一回一回の戦闘だけで異様に疲弊してしまう。
また、ローディングを早くしたから沢山戦ってねと言わんばかりの高いエンカウント率にもウンザリ。

主に後半に、意地悪なイベントやボス戦が固まっておいてあって、非常にストレスが溜まった。
意味もなく何度も同じ場所をいったりきたりさせられたり、きつめの時間制限イベントや
あからさまなイカサマで戦況を不利に追い込むボスキャラの連続など。
それに輪をかけて、ザコ敵の戦闘バランスもきつくきつくなっていきしんどくなるばかり。

フィールドマップも無駄に広く入り組んでいる。
話の行きがかり上、幾つかの小さいフィールドを転々とするスタイルなのと、
行き止まりに良く宝箱が置いてあるから、フィールド自体もダンジョンの意味合いを
兼ねているのだろう。しかし、これはうざったい。
話を進めると、前のマップに戻れなくなるのも強制的で好きになれない。

余計なシステムも多い。
エンチャントという特技に特殊能力を付与させるものがあって、
熟練度(技を使った回数)の数をそのまま振り分けるポイントにしていて
熟練度に意味を持たしたのだろうが、装着させるのがちょっと面倒。
もう一つ、武具の合成が出来るようになったが、
敵がガンガン武具を落とすのと、店屋に売っていたりして、
決して安くない金をかけて分かり辛い合成をするほど見合った恩恵も受けられない。

いずれも、クリアするに当たってそれほど重要視する必要もない程度の影響力なのだが、
それならば、無いのと一緒であって、バッサリ無くしても良かったのではないかと思う。

とにかく本作はシステムが肥大化し過ぎてしまって覚えることが多すぎる。
もう少し、どう楽しませるか絞り込みをかけて作るべきだった。

ウィンドウ周りのデザインもセンスが悪く、無駄にごちゃついていて、
見ているだけで疲れてくる情報量。
一番気になったのは、ウィンドウの上にさらに別のウィンドウを重ねてしまう処理があって、
主にヘルプメッセージの表示可否で、この処理を行われるのだが、
見えていた部分を隠される、という処理は随分と嫌な処理で、とにかく見辛い。
それまで見えていた項目をかぶさるように隠されてしまうのは、使い勝手が非常に悪い。
どうして従来作のように、ヘルプメッセージのウィンドウの場所を確保しなかったのだろう?
疑問に思えてならない。

その他にも、武具や特技の名称やエンチャントのスキル名などの名称が固く無機質で親しみを持てない。
なんだか、無個性というか印象に残らないものばかりでやすっぽく、つまらない。
このシリーズのアイテム名を始めとする名称関係はもっとコミカルだったはずなのだが。

DVD-ROMの大容量を生かして、今回はスキットチャット以外に
本筋のイベントでも、全て声を当てており、フルボイスで喋る。
とにかく喋りまくる。もう、うるさいぐらい。
台詞の数も膨大で、声を飛ばさず聞いていると、イベントを眺めている時間がちょっと
長めになってしまう。
長い台詞や、もどかしいやりとりも多く、もう少し台詞をまとめるなどして欲しかった。
良く喋るのだが、画面上の変化が乏しく、見てくれが退屈でたまらんのだ。
今回は比較的重いテーマを持ってきていることもあって、
長いやりとりが終わった後に、結局なにをいいたかったのかはっきりしなかったりすることもあった。

重箱の隅をつつくような苦言が多くなってしまったが、
長いシリーズ物に陥りがちな、全体的に複雑化した取っつきの悪いゲームになってしまったように思う。
せっかく、ローディング処理を快適に持ってきたのだから、ゲーム部分での煩雑さは惜しい。
もっと、枝葉を切ってすっきりしたゲームを目指すべき。

取っつきが悪く、コアなファン向けの作品。





[2004/05/12-2005/01/29]
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