ララ・クロフト アンド ガーディアンオブライト


対応機種プレイステーション3(PlayStation Store)/Xbox360(XboxLIVE arcade)
発売日2010/08/18(Xbox360)/2010/09/28(プレイステーション3)
価格1500円(プレイステーション3)/1200マイクロソフトポイント(Xbox360)
発売元スクウェアエニックス

(c)2010 SQUARE ENIX / Eidos / CRYSTAL DYNAMICS
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海外ソフトハウス「アイドス」の、看板ドル箱タイトル「トゥームレイダー」の新作となる(日本での知名度は今一つだが)。
今回は、ダウンロード販売ということもあって、従来と違い規模の小さい作品となるが、そんな土俵の上でもなかなか頑張っている。

三人称視点の3Dアクションアドベンチャーだが、本作ではシリーズでは初めて見下ろし型の視点を採用している。低予算でコンパクトに作るという意図もあるのだろう。
ゲーム自体は、相変わらず遺跡の仕掛けを頭を使って解いていくタイプのゲームで、要所要所で敵も出てくるが、謎解きの邪魔にならないように考えられた構成をしている。

グラフィックは全てポリゴンで描かれているが、非常に綺麗。カメラの視点は見下ろしで固定だが、怪しい部分ではそこをズームアップしてみたり、演出面が凝っているのでチープさが無い。
強いて言えば、洋ゲーにありがちなことだが、描き込みすぎて、記号的な面から見て、どこからどこまで歩けるのか、次に向かうべき方向はどこになるのかといった、和製ゲームでは当たり前のように配慮されている要素が弱いことが気になる。機能性に乏しいのである。
物陰に隠れて見辛い箇所が多かったり、さらに難を言えば若干遠近感がわかりづらい部分もある。

ゲーム・ボリュームは多すぎず少なすぎず丁度良い感じ。パッケージで売っていたら許されない分量だが、ダウンロードゲームだと、価格が抑えられているため許される。最近のゲームソフトは物量的で肥大化しすぎている。

操作性は独特で、煩雑さが少々気になるが、慣れれば支障なくプレイ出来る。右スティックで狙いをつけ、Rトリガーで攻撃する。武器の切り替えはLトリガーを押しながら、割り当てられたボタンを押す。
しかし、全体的に海外のゲーム特有の大味さが気になるところだ。日本人が敏感すぎるのかもしれないが、動きが全体的にもっさりとしていて、避けて攻撃するアクションの面白さがイマイチ弱い。
多彩なギミックで練り込まれたジャンプアクションのシーンはかなり面白いのだが…。

気になった点といえば、イベントムービーで表示されるイラストが、なんだか日本人を意識したような安っぽい塗りでポリゴンのイメージと違和感があること。海外では売れているのだから、変に日本に気を使う必要はない。
スクウェアエニックスに買収されてしまったから、ゲーム内容に口出しされているのかもしれない。
また、音声字幕を表示させることが出来るが、字幕の表示の仕方が非常にお粗末であること。ダウンロードゲームだから、あまり手をかけられない事情もあるのだろうが、もうちょっと何とかして欲しかった。

全体的にテンポの良いゲーム構成で、気持よく遊べるのだが、一部のステージで散らばった石を中央の部屋に運ぶステージがあり、そのステージのみかなりだるかった点が気になった。探索を過度に強制させるのは良くない。
規模の小さいゲームということもあり、ゲームギミック、敵キャラなどのバリエーションに乏しい(フォローするとこの手のゲームにしては多いほう)のが残念。

メニューインターフェイスも今一つ洗練されておらず、惜しい。洋ゲーの苦手とする分野だ。
ゲームシステムも思い切ってシンプルにしても良かったと思う。アーティファクトの付け替えなど、面倒くさいだけでいらないと感じた。

武器の種類も非常に多く、収集要素ややり込み要素も工夫をしていて、マンネリを感じずに楽しめる。ステージ数が丁度良いので、これらの隠された集め物も探してやろうという気持ちになる。

2人同時プレイで協力しあってプレイすることも出来る(オフラインプレイ)。Xbox360版が出た段階では対応してないが、オンラインの協力プレイにも対応させるとのこと。でもぶっちゃけ、一人でも十分面白い。
こんな感じで、値段の割に長持ちするゲームに仕上がっている。

残念だと感じたのは、操作キャラの服装を着替させることができるのだが、実際のゲーム画面では小さいので、あまり嬉しくない。有料拡張コンテンツで今後追加するそうなのだが、これだと買ってもらえないだろう。

ダウンロード販売のゲームとは思えないほど、ゲームの中身が作り込まれている。勿論限界もあり、底の浅さが気になるところもあるが、このクオリティでこの価格は万万歳と言えないだろうか。

トゥームレイダーは日本では諸事情が重なって、あまり知られていない(映画版なら知ってるという人が多いかもしれない)。初期の作品は、海外では絶賛されているものの、日本人の嗜好に合わない女性な上に、ゲームそのものが高難易度の傾向にあった。
しかし、今後はスクウェアエニックスが手掛けることになるだろうから、本作も含めて、注目されていくのではないだろうか。
向こうでは日本で言う、任天堂「ゼルダの伝説」クラスのゲームである。

見下ろし型のこの路線の評判が良かったら、従来の三人称視点と並行して、この路線の作品も徐々に開発される可能性もある。個人的にはこっちの作風も面白いと感じた。
今後このシリーズがどうなるかわからないが、新作は定期的に発売されているので、今後の展開に期待したいところだ。でも、ダウンロード販売メインになられると困る。やはり物足りない。重厚壮大な路線も作り続けて欲しいものだ。そこで結論。

ダウンロードゲームでよくぞここまで。力作。





[2010/08/20-2010/10/01]
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