ビクトリーラン 栄光の13000キロ


対応機種PCエンジン(Huカード)
発売日1987/12/28
価格4500円
発売元ハドソン

(c)1987 HUDSON SOFT
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PCエンジン立ち上げ期に開発されたゲームソフトの一つで、擬似3Dタイプのレースゲームである。

ダカール・ラリーを題材とした、ゲームとしての爽快感よりも現実感を追求しているのが当時としては珍しい作りであった。

開始時に、走行する車の各パーツを何個持っていくかを割り振る。タイヤやエンジン、ギア、サスペンションなど、予備のパーツを総計20個の範囲で自由に選択できる。
コースを走っているときに、乱雑に運転していると、対応するパーツが消耗し、しまいには壊れてしまう。
例えば、無理にスピードを出して運転していれば次第にタイヤが摩耗していくし、エンジンを高回転で回し続ければエンジンがイカれてくる。壊れてくるとその部分の機能が正常に作動しなくなって、運転に支障をきたしてしまう。
チェックポイントにゴールしたときに、予備のパーツと取り替えるか決める途中経過の画面に入る。

つまり、ただ早く走れば良いわけではなく、長く過酷なラリーレースを走破することが目的であって、順位争いが主軸になっているのではない。勿論順位も表示されるのだけど。

コースも砂漠や草原といった悪路が舞台となっており、それぞれ路面の状態によって、車の挙動も異なってくる。

リアリティを追求している一方で、指定された制限時間内にクリアーできなければ問答無用でゲームオーバー(コンティニューなんて気の利いたものは無い)になるし、他に走っている車が障害物のように立ちはだかり邪魔してくる。
石やわらといった踏んでしまうとデメリットになるトラップも嫌らしく配置されている。このようにゲームならではな要素も強く、難易度はかなり高い。

特に、最初にも述べたが、このような車を傷めずに走るというリアルさを全面に押し出したタイプのレースゲームは珍しかったため、このゲームの意図するところをわからずにやめてしまう人が多かったと思う。
無茶な走りをしたら必ず画面上でエフェクトがかかって教えてくれるので、スピードを下げたりして対応する必要がある。また、車の操作が強制的にマニュアル仕様で、ギアチェンジを要求されるのも敷居を高めていた。

グラフィックはラスタースクロールを使った奥行きのある映像を実現している。ファミコンでも力業で擬似3D視点のレースゲームが出ていたが、立体感や滑らかさは当然のごとくこのビクトリーランが頭一つ抜けていた。
特に、開発者はただこれがやりたかっただけじゃないかと思うんだが…、コース上は時々起伏のある部分があり、ここを走った時の演出がかなり良く出来ていた。当時これを軽々と出来たのはPCエンジンだけだったと思う。

当時としては画期的だったスピード感溢れる映像美や、エンジンの回転音一つにいたるまでやたらリアルさにこだわったゲームだったのだが、ゲーム・デザインがなかなかの頑固者で、間口の狭い厳しいゲームであった。そこで結論。

ダカール・ラリーの厳しさが良く伝わってくるゲーム。ゲームとしては、うーん…。





[2010/10/02]
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