ワイルドカード


全部カードで表現された全く新感覚のRPG。

RPGとはいうけれど、ノリ的にはTRPGに近いんだろうか(TRPGやったことないんでわからん)

WSの性能がショボいんで、割り切って全部カードで表すというのは潔くて好感が持てた。
このゲームが出た頃はまだ、スワンクリスタルも無く、
残像の酷い画面でやらされていたから、あまり目まぐるしい画面展開は好ましくなかったから。

その点、このワイルドカードは非常に見やすく遊びやすい。
スクウェアはいつも映像を魅せることばかりだけれど、
珍しく身の丈にあったことをやっていて良かった。

その代わり、カード一枚一枚の絵は非常に鮮明で綺麗。
演出は地味だけど(終始カードのやりとりなので)、音楽や派手な効果音がそれを補っており
全然地味な感じはしない。

ゲームの流れとしては、アンリミテッドサガに近い。
アンリミテッドサガを簡略化したシステムになっている(というよりこれが元なんだけど)

まず、町でクエストを受けて「クエストカード」を手に入れる。
町を出て、そのクエストカードを消費してクエストパートへ進む。

全てカードで表されたダンジョンを、たまに分かれ道がありつつ、それを選んで進めていく。
一定時間以内にボス部屋にたどり着きでボスを撃破、ないしは目的場所にたどり着くことによってクリアとなる。

勿論、途中で敵も現れる。
戦闘方法は至って簡単。
こちらの攻撃手札から、好きな技を選ぶだけ。
その際に、与えるダメージはルーレットで決まるのだが、十分目押しが可能となっている。
時折、クリティカルが発動すると、倍のダメージへルーレットがシフトして大ダメージを与えることが出来ることもある。
攻撃手札には限りがあるので(自分の持っているカード分のみ)
カードの少ない序盤では、考えて戦う必要がある。
与えるダメージ数は技の威力と連動しており、技によって与えるダメージはある程度固定される。
例えば、カードの効果の部分に「威力 1〜4」と書かれていれば
攻撃時のルーレットは1から4しか回らないようになっている。
クリティカルになればこれのダメージ表がさらに上へ行くようにはなる。

敵が攻撃してくる場合もある。
その場合、これもこちらでダメージ量をルーレットで止めるようになっている。
こちら側の生命力は、LPと耐久力で構成されている。
耐久力を超えるダメージを受けてしまった場合LPが減る。
つまり、くらうダメージが耐久力を下回っていた場合、ノーダメージとなる。
これにより、弱いモンスターはより弱く感じられるし、
同等や強いモンスターからは、より緊張感を得られるように出来ている。
ダメージ量も自分で目押しして決めるために、理不尽さを感じない。
ゲーム後半になってくると、どうしようもなく難しい局面も出てくるのだが、
不思議とそんなにイライラすることはなく、逆に手に汗握る戦いを体感できた。

クエストをクリアすると、そのクエストで取った行動によって、
ステータスアップや攻撃&行動カードを選ぶ場面になる。
ステータスの上がるカードを取るとそれに伴ったパラメータが上がるし
攻撃&行動カードを取ることによって、クエスト時の行動の幅が広がるようになっている。

アンリミテッドサガでも似たような要素があったが、
あまりにシステムが複雑すぎる故、ついていけなかったが、
これは実に直感的でわかりやすくできている。

全編、ロマサガの雰囲気に近い。
ゲームバランスもそうであるし、世界観もそれに近い。
特に台詞回しのぶっきらぼうな感じは完全にサガである。

最初に主人公を選ぶのだが、
一定期間を過ぎると、また別の主人公を選ばされる。
その別のパーティも一定期間が過ぎると終了し、
また最初に選んだ主人公のパーティに戻る。
これを3回ほど繰り返して、ラスボスのクエストへと進むようになっているのだが
恐らくゲームバランスを取るためにこういう複雑な構造にしたのだろうが
ちょっと難しい。
いきなりそれまで未使用だったキャラを使わされるのは辛い物があった。
当然、こっち側は初期状態だけど敵側は強いままなので苦労するのだ。

仲間になるキャラクターは沢山いるが、どれも個性的なキャラばかりだ。
宝箱の罠を外すのが得意なキャラや、武術に長けたキャラ、
魔法攻撃に長けたキャラなど、きちんと個性分けされている。

ここら辺が、複雑化して曖昧になってしまったアンリミテッドサガに比べて
遙かに勝っている点だ。

また、仲間は最大5人まで組めるのだが、普通多ければ多いほど戦力になるのだが
このゲームに関しては、多い場合少ない場合のメリットデメリットが用意されているのが面白い。
キャラが多い場合、ゲームオーバーになりにくい。また、手数が多いので行動のバリエーションも増える。
だが、クエスト終了後のキャラ強化に於いて、成長しにくいデメリットがある。
少ない場合は、その分、クリア後のカードを独占できるので、すぐにキャラが成長するのだが
行動の手数が少なく出来ることが限定されてしまう。
また、強敵との戦闘で全滅しやすくなる。
だが、少数精鋭でもきちんと戦えるバランスになっているのは上手いと思う。
さっき書いた、耐久力を下回るダメージは無効になる部分がここで生きてくる。
強いキャラならば、いくらザコがたかろうが一人でも負け無しになるほどの強力さを誇るのだ。

戦闘時の攻撃カード以外に行動カードというものも存在する。
これは、アンリミテッドサガにもあったが、
非戦闘時の探索に於いても特殊な技能を使用する際にはカードを消費する。
この非戦闘時の探索が得意なキャラもいる。
とはいえ、その能力が無いキャラにもそれら特殊技能を身につけさせることも可能になっている。
そこらへんの育成の自由度はサガを受け継いでいるのだ。

とはいえ、カードを選ぶのにいちいち手間のかかる操作が必要なのが残念であった。
お金や装備品といったアイテムまで全てカードなので、
手持ちアイテムが参照しづらかったりという不満点もある。
それから、ストーリーは全くないに等しく、
クエストそれ自体を楽しむ作りになっているのも寂しくはある。
一応ラスボスはいるが唐突に出てくるため困惑する。
また、ゲームバランスの調整のためか、突如パーティキャラをかえられるなど
偏ったバランス調整が気になった。
まさにサガシリーズのような少々の理不尽さがありクセが強い。

もし、アンリミテッドサガに幻滅したサガ好きでこれを知らないのならば
是非一度遊んでみて欲しい(なかなか機会が整わないと思うが)
その際は攻略本もあるとより楽しめるのだが…。

新たな必殺技や魔法を習得させたり、特殊技能を覚えさせる育成面の楽しさも抜かりないのは凄い。





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