ゼノサーガ エピソード2 善悪の彼岸


対応機種プレイステーション2
発売日2004/06/24
価格6980円
発売元ナムコ

(c)2001 2004 NAMCO / MONOLITHSOFT / KORG
戻る

全三部作に構想が及ぶSF超大作RPG、ゼノサーガの二部作目。
前作のRPGとしての作り込みの甘さを踏まえて、どのような内容になっているのか。

本作は滅多に見られないDVD-ROM2枚組となっている。
前作も片面二層だったので、容量的に大きな違いはないが、
ゲーム中にディスク入れ替えがある分、グレードダウンしていると言える。

ゲームそのものは大幅なリニューアルが計られているものの
おおまかな構造においてはそのままで、
結局ゲームとムービーとの距離感は相変わらずのひどさで、ろくに遊べた物では無い。

当初のプロットから、描きたいことをだいぶ絞り込んでいるようなのだが、
どうも的はずれな感じで、外しちゃいけないことを端折っていたりするせいか
随分とスカスカな印象を受ける。
また、このソフト一本として見た場合、三部作のちょうど真ん中ということもあって
新参者へのフォローも薄いし、かといってラストへの盛り上がりも中途半端であり、
前作同様、未完結ですっきりしない終わり方をする。
見せたい話というのも、本編というよりかは外伝的なスケールの小ささで
前作で少しながらも見せた壮大なストーリーと比較して中身がかすれきってしまっている。

前作から2年も経つと、さすがに映像面での完成度が上がっているが、
CMで見られたようなスピード感やスペクタクルは比重として小さいもので
やはり本作も全体的にだらだらしてしまっている。
無駄なシーンというのはかなり省かれているし、筋書きを追いやすい構成ではあるが
まだまだ他のゲームと比べて十人力である。
凝った設定などは節々にちらと顔を見せるのだが、まったく生かし切れていない。

キャラクターの顔が写実的に変更されたが、まだどの辺りに絵的な方向性を置きたいのか
はっきり分からない。ゆえに違和感だけが先行してしまう。
アニメ絵がいいのか、写実的なもので描きたいのか、もっと続編では割り切った絵にして欲しいところ。
ただ、これに伴った服飾デザインの変更は良いものと思う。

ゲームシステムは、戦闘が大きく変化している。
以前よりも、よりゲームそのものと向き合わなければならないものになっていて、
しかし相変わらずの独りよがりさと複雑さの上から作られているので、敷居は高い。
モーションやエフェクトが小気味よくなった代わりに、一回の戦闘で求められるコマンド入力の数が
膨大になり、RPGとしてのテンポはだるいままで、結局だらだらしてしまっている。
行動をストック(パス)することでたまるストックポイントと行動順に割り込むブーストを駆使して
追い打ちをかけるような連携を使うことで大ダメージを与えることが出来るのだが、
やはりこれらの戦略が直感的でない独特なもので、考える楽しみというのは薄く、
ザコ敵の時点で既に異常なHPの高さなどから半ば強制的な印象がある。
そして、単純にまわってきたターンを全く何もせずに溜める行為に当てるというのは著しくテンポを阻害していて、面倒。
せめて防御でたまるなど意味合いを持たせて欲しかった。

装備品の概念を無くし、スキルに一本化しているのはすっきりしているのだが、
全キャラ共通なうえ、使えるものがごく一部と限られているので、
カスタマイズの楽しさがない。これが戦略を練る楽しさを一層削いでしまっている。

前作以上に難易度は上がっていて、今回も敵シンボルを全部倒していっても
ボスまでに若干経験値が足りないようになっていて、シビアな戦いを強いられる。
ボスの倒し方を探すというよりかは、探させられているというような幅の狭いバランス取りのせいで
実に窮屈な印象が残り、面白くない。

また、前作で存在意義がまるでなかった巨大メカでのバトルがあるのだが、
割合としては少なく、しかし人間時と少し違うシステムになっているせいで、
今ひとつ馴染めずに戦わされる。
この状態で、明らかにレベル不足で経験値稼ぎを要求される場所もあり、
強引に入れたように思えてならない。

イベント関係では、町を拠点に目的地を転々とするスタイルで、
この町にシナリオ進行度に応じて発生するサブイベント群が追加されている。
これにより、一本気の展開に寄り道要素を加えることが出来ているが、
逆にゲーム上のテキストの弱さが露呈する結果に至っている。
イベントそのものの出来も悪い意味で適当で、露骨なお使いイベントは
本編の雰囲気との差が激しく、世界観を上手く表現出来ているかというと
語るに落ちるという感じで、苦しい。

やっとゲーム中に音楽が鳴るようになったが、全体的に軽く安っぽい感じでまだまだといったところ。
ムービー時の音楽も突然ゲームっぽいものが鳴ったりする場合があり、どっちつかずに終わってしまっている。

改悪と言っていいのがハードディスク非対応になったことによる快適性の悪化。
やはり本作もディスクアクセスが長いままで、特に戦闘時がぎこちないロードで重く雑な印象がある。
メニュー画面もレイアウトが一新し華美なものになり、見た目が良くなったのだが、
全体的に文字が小さく、特にムービーの字幕は前作より読みづらくされてしまっている。
これらは要するにプログレ前提ということなのだろうが、良い向きの使い方では無い。
それから、2人技というものが用意されているが、使用条件が厳しいために実用的でなく
エフェクトがキャラクターゲームのような安っぽさであり、悪ノリが過ぎるように思う。
それに関連して一部の戦闘時のかけ声も、もう少しセンスのいいものに出来ないかと思うのだが如何な物か?

色々書いたが、前作と比べ肝心な面に関しては殆ど改善が見られずそのままで、
劇的なクオリティアップが見られる中身では無い。
それどころか、前作よりも作りが大雑把になってしまっているところも見受けられる。
DVD-ROM2枚組とはいえ、ゲーム自体は短く物足りなさがある。
ダンジョンの古くさいギミックもそのままで、数も極端に減り、おまけに使い回しているところもある。
クリア後のオマケダンジョンに力を入れるぐらいなら、本編に回した方が良かったんじゃないか?とも思うぐらい少ない。

結局、一番直すべきであるゲーム部分とイベントムービーとの距離感を埋めることを
またも全くせず、それがひいては空回りを起こしてしまっているというのを
まず開発者は認識すべき。

相変わらず、好き勝手やって駄目にしてしまってるゲームです。





[2004/07/11-2005/03/26]
戻る

inserted by FC2 system